水耕栽培と水産養殖の循環型農法「アクアポニックス」専用の生産管理アプリが登場

株式会社アクポニは、水耕栽培と水産養殖を組み合わせた循環型農法「アクアポニックス」専用の生産管理アプリ「アクポニ栽培アプリ」をリリースした。


「アクアポニックス」は、魚の排泄物を微生物が分解し、植物が栄養として吸収した後、浄化された水が再び魚の水槽に戻る仕組みを利用して農作物を栽培する水耕栽培システム。

土耕栽培の約7倍の収量を誇る高い生産性と約80%以上の節水効果を生む環境負荷の少ない栽培が特長で、アメリカの有機認証であるUSDAの取得も認められる。

しかし、一般的な水耕栽培とは違い水産養殖も同時に行うことから、農作物の栽培に最適な環境を作り出すのが難しく、適切な生産管理を進めていくためには、同社の現場指導が必要だった。そこで、導入初期でも生産管理やリスクマネジメントを誰でも簡単に行えるようにすることを目的に専用アプリを開発。


「アクアポニックス」の仕組み

神奈川県藤沢市にある「アクアポニックス」の試験場

同社が販売する「アクポニハウス5」。1カ月最大1000株の栽培が可能。

生産管理の状況を数値で評価


「アクポニ栽培アプリ」は、アクアポニックスの生産管理データを一元管理するアプリ。

人間が行う作業と環境制御のデータを記録・集計・レポート化し、生産管理の状況を数値で評価できるため、遠隔からの指導やシステムの改善などへの活用も見込まれている。

特長は以下の3つだ。

1)給餌・定植・収穫など、アクアポニックスの運用に必要な作業内容をテンプレート化しているため、必要事項を入力するだけで、作業データや生育データを簡単に記録できる。

2)アクアポニックスに特化したIoTセンサーと連動しているため、気温・湿度・EC値(電気電導度)・CO2濃度・照度、水温・pH(水素イオン濃度)、溶存酸素量、TDS(総溶解固形物)等の環境データの蓄積が可能。

アクアポニックスに特化したIoTセンサー

3)8週間分の作業データと31日間分の環境データをレポート形式で出力できるため、栽培環境の改善に必要な課題がすぐに発見できる。

作業データと環境データを出力したレポート。
理想値の上限を超えたものは赤、下限を超えたものは青で表示される。

今後は、英語版のリリースも予定しているとのこと。

アプリ概要


名称
・アクポニ栽培アプリ
サービス内容
アクポニ栽培アプリの提供、IoTセンサーの貸与・月1回のオンラインミーティング、質問対応
対象者
・アクポニのシステム導入者
利用料金
・規模により応相談(例:アクポニハウス5の場合、36万円(税込)/1年)
契約期間
・1年間~
記録項目
・作業データ(播種、定植、収穫、環境チェック、観察記録、稚魚投入、死魚チェック、体重計測、追肥、収穫等)
・環境データ(気温、湿度、水温、照度、CO2、pH、EC値、TDS、溶存酸素量等)
申し込み
・要問い合わせ


株式会社アクポニ
https://aquaponics.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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