農業ICTプラットフォーム「CropScope」が少量多頻度灌漑に対応

カゴメ株式会社と日本電気株式会社(NEC)の合弁会社であるDXAS Agricultural Technology (ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー)は、NECが開発した農業ICTプラットフォーム「CropScope(クロップスコープ)」に、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能の2つを追加した。


「CropScope」は、AIを活用した営農アドバイスサービスとセンサーや衛星写真を活用した圃場可視化サービスを組み合わせた露地栽培向けの農業支援ソリューション。

熟練農業者のノウハウを習得したAIが、農作物の成長に必要な水や肥料の最適な量と投入時期を明示してくれるのが特長で、「MCPC award 2020」のサービス&ソリューション部門の優秀賞も受賞している。


農業現場の水不足問題に対応


少量多頻度灌漑とは、少量の水を時間をかけて少しずつ与える栽培手法のことで、農作物の成長に最適な土壌水分量を保ち、消費する水の量を削減する効果があるといわれている。

しかし、専門的な知識の無い一般の農業者が刻々と変化する最適な水分量を判断していくのは難しく、「広大かつ複数の圃場を所有する農業者にとっては、管理が複雑になり、作業負担が増えてしまう」という課題を抱えていた。

少量多頻度灌漑の効果を示した図。
通常の灌漑の場合、水過剰ストレスや水欠乏ストレスが植物にかかってしまうが、
少量多頻度灌漑では水ストレスのない状態を維持できる。

同社が提案するサービスは、少量多頻度灌漑に対応したAIアドバイスが、圃場に設置した灌漑・施肥設備を自動で制御して、農作物の成長に必要な水分や肥料を補給していくもの。

サービスの概要図。
灌漑と施肥を自動で実行してくれるため、煩雑で手間のかかる手動での作業が不要になる。

2022年4月からポルトガルで行った実証実験では、「CropScope」を活用していない圃場との比較を実施。
その結果、通常より約15%少ない灌漑量で収穫量が約20%増えたという。

サービスの提供は2023年4月からの予定で、欧州、米州、オーストラリアの加工用トマト市場での展開も視野に入れているとのこと。

同社は、「CropScope」の提供を通じ、地球温暖化による気候変動の影響を背景に干ばつの被害を受ける農業現場の水不足問題に対応していきたい考えだ。


CropScope(クロップスコープ)
https://jpn.nec.com/solution/agri/service/farm_analysis.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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