こゆ地域づくり推進機構×農業人材シェアサービス「シェアグリ」提携|宮崎県児湯郡新富町にて

宮崎県児湯郡新富町にある、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(代表理事:齋藤潤一、以下こゆ財団)は、農業人材のシェアリングサービスを展開する株式会社シェアグリ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井出飛悠人)との提携を発表した。

繁忙期の人手不足に困る農家にとって、短期雇用ニーズとマッチングできる「シェアグリ」は課題解決を強力に推進するサービスです。

財団法人こゆ地域づくり推進機構

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構は、2017年4月に宮崎県児湯郡新富町が旧観光協会を法人化して設立した地域商社だ。

今回の提携の目的は新富町における農業人材の不足の解消にある。
総務省の資料*では、平成7年に256万人だった基幹的農業従事者の数は、平成30年には145万人にまで減少しており、年齢の構成も65歳以上が98.7万人(68%)なのに対し、40代以下は15.2万人(11%)となっている。

*「農業労働力の確保に関する行政評価・監視 -新規就農の促進対策を中心として- 結果に基づく勧告」(平成31年3月)

この状況に対し、農林水産省では2023年に40代以下の農業従事者を40万人に拡大するという目標を掲げさまざまな施策を行っているが、実際には平成25年で31万1,000人、平成29年で32万6,000人と微増(4.8%増)に留まり、担い手不足の解消までには至っていない。

こゆ財団が所在する新富町も状況は同じで、人手不足の解消は同町の長年の課題だ。
同財団は自身が主宰するスマート農業研究チーム「儲かる農業研究会」で、シェアグリのサービスを地元農家に紹介。今回の提携は、農繁期のみの短期雇用を求める多数の農家の賛同を得る形で実現したものである。

農業に特化したデイワークアプリ 「シェアグリ」

シェアグリは株式会社ガイアックス(本社:東京都千代田区、代表執行役社長:上田祐司)が出資する、株式会社シェアグリが2019年7月16日にリリースしたサービスだ
同サービスは、農作業の人手不足の解消を目的につくられた、農業に特化したデイワークアプリである。

短期雇用に特化したアプリで、農業体験を求める人と人手を必要とする農家をつなぎ、利用者は農作業を楽しみながら体験感覚で給料を得ることができる。
現在は、千葉県や長野県など全国10県、累計50軒の農家の求人を扱っている。


同社では、「アプリを通じた農家との関係は、農業における関係人口の創出にもつながる」としており、今回の提携ではこゆ財団が行政や農家・地域住民と利用者をつなぐコーディネーター役を担い利用を促進していく。
提携の一環として、2019年10月には宮崎県新富町内にシェアグリの拠点を開設し、マッチングの検証も行っていく予定だ。

農業課題の解決にシェアリングエコノミーを活用

こゆ財団では、今回の提携を機に、農業機械や作業車、農園、先進技術(AI・IoT・ロボット等)など他の農業課題の解決にもシェアリングエコノミーの生かす方針だ。
クラウドファンディングやベンチャー、スタートアップの誘致、人材の育成なども積極的に行い、今後は農業人材の不足を解消しながら、農業を通じた関係人口の創出・拡大、AI・IoT・ロボットなどのスマート農業のシェアリングにも取り組む考えを示している。

新富町で行われたスマート農業の実証実験の様子

<参考リンク>
宮崎県新富町HP
一般財団法人こゆ地域づくり推進機構
株式会社シェアグリ
株式会社ガイアックス
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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