DJI、生育分析などが可能なマルチスペクトルカメラ搭載ドローン「P4 MULTISPECTRAL」発表

DJIは、精密農業と環境管理を目的に設計された、世界初の完全統合型マルチスペクトル イメージングドローン「P4 MULTISPECTRAL」を10月より発売する。価格は約85万円から(ソフトなどが付属する)。


P4 Multispectralは、6つの個別のセンサーからの取得データを組み合わせて、それぞれの作物から圃場全域の植生まで健康状態を調べ、さらに雑草や害虫被害、土壌の状態なども測定できる。これまでもマルチスペクトルカメラは販売されていたが、メーカーとして標準搭載したドローンはP4 Multispectralが初。

農業ドローン市場は、2019年の12億ドルから、2024年までには48億ドルに成長すると予測されており、P4 Multispectralを用いることで、農業従事者は収穫量を改善しつつコストを削減でき、環境の専門家は管理する土地の植生を簡単にモニタリングできるようになるという。

高精度マルチスペクトル画像を標準で撮影可能


P4 Multispectralは、RGBカメラ1台とレッドエッジや近赤外線など5種類の狭帯域センサーを備えたマルチスペクトル カメラアレイで構成されるジンバル安定化画像システムを搭載し、可視光および不可視光を捉えることが可能。このデータにより、熟練の専門家ならば植生のストレス状態、土壌組成、水中塩分や汚染に関する独自の情報を得ることができる。さらに、統合型日照センサーより、1日の異なる時間帯に飛行するミッションの際のデータ収集の精度と一貫性が、最大まで向上する。

また、飛行計画アプリ「DJI Ground Station Pro」(DJI GS Pro)へのシームレスな統合により、パイロットはドローンのRGBカメラのリアルタイム動画表示と、正規化差植生指数(NDVI)出力を切り替えて、現場ですぐに洞察データを確認できる。また、一体型のRTK測位モジュールとTimeSyncシステムは、各画像のリアルタイムで正確な測位データ取得をサポートし、写真測量結果を最適化することで、センチメートルレベルの正確な測定値を提供する。

DJIおよび他社製解析ソフトに対応


P4 Multispectralは、DJIやその他の主要プロバイダーの飛行プログラミング、マッピング、分析ソフトウェアなどの標準的な業界ワークフローに対応。DJI GS Proアプリケーションを使用すれば、飛行計画、ミッションの実行、飛行データの管理など、自動化された繰り返し可能なミッションを作成できる。「DJI Terra」や「Pix4D Mapper/DroneDeploy」などの一連のサードパーティー製解析ソフトウェアに、収集されたデータを簡単にインポートして、分析や追加の植生指数マップも生成可能だ。

さらに、P4 Multispectralユーザーは、すべての主要なGNSS(全地球航法衛星システム)に対応するDJIのD-RTK 2高精度GNSSモバイルステーションを使用して、インターネットに接続することなくRTK測位の精度を向上させられる。もしくは、インターネットに接続しているiPadを介して、サードパーティー製のネットワークRTKを使用することでも、RTK測位の精度を向上できる。

Phantom譲りの飛行&伝送機能を搭載

P4 Multispectralは、Phantomシリーズの機体を採用し、強力なOcuSync伝送システムによる信号干渉の少ないスムーズな飛行体験と、最大7kmの伝送距離を実現するビデオ伝送の機能を踏襲している。2メガピクセルの標準搭載カメラは、飛行中に正確なイメージングを実現するグローバルシャッターを備える。一つのバッテリーで最大27分間の飛行が可能となっている。

発売は10月より、世界のDJI正規代理店でスタートする。価格は、DJI Terraライセンス(1年間)とDJI GS Pro(Team-Professional)iPadアプリライセンス(1年間)が付属して約85万円(税込)、D-RTK 2高精度GNSSモバイルステーションが付属して約120万円(税込)。いずれの場合も、追加費用なしで1年間のEnterprise Shieldベーシックが付属する。

<参考URL>
P4 MULTISPECTRAL


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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