日EU経済連携協定(EPA)が2019年発効へ 大半の農産物は関税撤廃もコメは除外

日本政府は7月17日、日本とEU(欧州連合)の間で、「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定」(以下、「日・EU経済連携協定(EPA」)を結ぶことを発表した。今回の協定により、日本とEUの間での自由貿易が促進され、幅広い分野での経済の活性化が期待される。

政府の発表によれば、日本産品のEU市場への輸出に関しては、工業製品は約99%の関税撤廃を達成。乗用車は8年目に撤廃され、自動車部品は9割以上が即時撤廃される。輸入は工業品は100%撤廃され、化学工業製品、繊維製品等は即時撤廃。皮革・履き物などは11年もしくは16年目に撤廃とされている。


農林水産品等では、輸出については牛肉、茶、水産物等の輸出重点品目を含めほぼすべての品目で関税を即時撤廃。日本産ワインの輸入規制も撤廃される。農産品や酒類に関しては、生産地や品質を担保するための地理的表示(GI)の保護を確保する。

輸入に関しては、コメは撤廃・削減の対象から除外。麦・乳製品に関しては関税制度を維持し、関税割当やセーフガードなどの措置が確保される。ソフト系チーズは関税が残され、数量等も国産品の生産拡大と両立可能な範囲に留められる。牛肉は15年の関税削減期間とセーフガードが確保される。

EPAにより、5億人を超えるEU市場への日本の農林水産物の輸出促進に向けた環境が整備される。さらに、GI保護により、国内産地ごとのブランドの維持と価値向上も図れる。

協定の発効は、2019年3月頃を目指している。

<参考URL>
日EU経済連携協定(EPA)交渉(外務省)
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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