農研機構、いもち病に強く耐倒伏性に優れた水稲新品種「あきいいな」を育成
農研機構は、多収で葉いもちに強く、耐倒伏性に優れた新品種「あきいいな」を育成したと発表した。同品種を導入することで、飼料用といった新規需要米の低コストで安定的な生産が期待される。
近年、主食用米の国内需要が年に10万トンのペースで減少していて、この現状に対応するため、農林水産省では、米粉用や飼料用といった新規需要米向けの多収品種の作付けを推進している。
多収品種は、肥料投入量を増やすことで一般品種より大幅に収量を増大することが可能だ。しかし、窒素の多施用により、いもち病などの病害虫や倒伏が発生しやすく、結果的に収量の減少、防除コストの増加、作業効率の低下を招くという問題があるという。
これまでに育成されている新規需要向け多収品種にも、いもち病に強い品種はあったが、いもち病の中でも特定の系統のみの感染を防止するものであり、違う系統のいもち病が蔓延すると感染してしまう例が報告されていた。
そのため、新規需要米をより低コストかつ安定的に生産するには、いもち病菌の系統が変動しても安定的に効果を発揮する抵抗性や、耐倒伏性に優れる多収品種が求められていたという。
今回の研究では、飼料米に適した多収品種「ホシアオバ」と、主に西日本で栽培されている良食味品種「ヒノヒカリ」を同時に栽培し、品種特性の比較が行われた。
「あきいいな」の特徴として、ほ場抵抗性遺伝子であるPi39を持つと推定され、葉いもちや穂いもちにも強く、幅広い系統のいもち病のほか、縞葉枯病にも抵抗性を持つため収量の安定化が期待される。また、多肥条件であっても、倒伏は「ホシアオバ」よりやや少なく、「ヒノヒカリ」より少ないことから、耐倒伏性はやや強いことが確認された。
収量については、「ホシアオバ」と同等で、「ヒノヒカリ」より約20%多い。
育成地である九州北部では、出穂期は8月21日ごろ、成熟期は10月19日ごろと、「ヒノヒカリ」とほぼ同様に。
その他の栽培特性や栽培上の注意点は以下の通りだ。
「あきいいな」は今後、山口県で飼料用米としての栽培が見込まれている。原種苗については、品種利用許諾先で、2024年度に種子増殖を行い、2025年度から生産者へ種子を提供する予定だ。 農研機構
https://www.naro.go.jp/
耐病性に優れ倒れにくいため安定生産が可能に
近年、主食用米の国内需要が年に10万トンのペースで減少していて、この現状に対応するため、農林水産省では、米粉用や飼料用といった新規需要米向けの多収品種の作付けを推進している。
多収品種は、肥料投入量を増やすことで一般品種より大幅に収量を増大することが可能だ。しかし、窒素の多施用により、いもち病などの病害虫や倒伏が発生しやすく、結果的に収量の減少、防除コストの増加、作業効率の低下を招くという問題があるという。
これまでに育成されている新規需要向け多収品種にも、いもち病に強い品種はあったが、いもち病の中でも特定の系統のみの感染を防止するものであり、違う系統のいもち病が蔓延すると感染してしまう例が報告されていた。
そのため、新規需要米をより低コストかつ安定的に生産するには、いもち病菌の系統が変動しても安定的に効果を発揮する抵抗性や、耐倒伏性に優れる多収品種が求められていたという。
農研機構が育成した「あきいいな」は、種子親として耐倒伏性が強く多収の飼料用系統「飼45」、花粉親としていもち病ほ場抵抗性、耐倒伏性が強く、縞葉枯病抵抗性があり多収の主食用品種「たちはるか」の組み合わせで育成された品種。収穫の秋に十分な水準の収量が確保できることから、「あきいいな」と命名された。
今回の研究では、飼料米に適した多収品種「ホシアオバ」と、主に西日本で栽培されている良食味品種「ヒノヒカリ」を同時に栽培し、品種特性の比較が行われた。
「あきいいな」の特徴として、ほ場抵抗性遺伝子であるPi39を持つと推定され、葉いもちや穂いもちにも強く、幅広い系統のいもち病のほか、縞葉枯病にも抵抗性を持つため収量の安定化が期待される。また、多肥条件であっても、倒伏は「ホシアオバ」よりやや少なく、「ヒノヒカリ」より少ないことから、耐倒伏性はやや強いことが確認された。
収量については、「ホシアオバ」と同等で、「ヒノヒカリ」より約20%多い。
育成地である九州北部では、出穂期は8月21日ごろ、成熟期は10月19日ごろと、「ヒノヒカリ」とほぼ同様に。
その他の栽培特性や栽培上の注意点は以下の通りだ。
・温暖地の平坦部および暖地での栽培に適している。
・稈かん長ちょうは100 cm程度と「ホシアオバ」と同様に長く、穂長も「ホシアオバ」と同様で、穂数は「ホシアオバ」並からやや多い。
・多肥栽培に適しているが、極端な多肥は、いもち病などの病害虫の発生や倒伏の恐れがある。
・穂いもちほ場抵抗性は”やや強”だが、穂いもちの多発が予測される場合は、予防的に薬剤散布を行うなどの防除を検討する必要がある。
・白葉枯病抵抗性が不十分なため、常発地での栽培は避ける。
・稈かん長ちょうは100 cm程度と「ホシアオバ」と同様に長く、穂長も「ホシアオバ」と同様で、穂数は「ホシアオバ」並からやや多い。
・多肥栽培に適しているが、極端な多肥は、いもち病などの病害虫の発生や倒伏の恐れがある。
・穂いもちほ場抵抗性は”やや強”だが、穂いもちの多発が予測される場合は、予防的に薬剤散布を行うなどの防除を検討する必要がある。
・白葉枯病抵抗性が不十分なため、常発地での栽培は避ける。
「あきいいな」は今後、山口県で飼料用米としての栽培が見込まれている。原種苗については、品種利用許諾先で、2024年度に種子増殖を行い、2025年度から生産者へ種子を提供する予定だ。 農研機構
https://www.naro.go.jp/
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