株式会社クボタは、開発を進める水素燃料電池トラクタ（FCトラクタ）の試作機を、2024年3月28日に報道関係者向けに初公開した。

トラクターのCO2排出ゼロが実現可能に

クボタは、2021年に「環境ビジョン」を公表し、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを掲げている。その一環として、機械の動力源に関する脱炭素化の取り組みを行っており、バッテリーを使用した電動化のみならず、水素燃料電池利用による電動化、水素やバイオ燃料、合成燃料を燃料とするエンジンなど、全方位の研究開発を進めている。

世界各国でカーボンニュートラルが推進される中、クボタはバッテリー式の小型電動トラクター・建設機械を開発し、市場投入してきた。

しかし、クボタが販売している農機・建機のシリーズは多岐にわたり、大型トラクターも含め各シリーズに適した出力を得る必要があることから、エネルギー密度がバッテリーよりも優れている水素燃料電池を使ったトラクター開発も進めている。

今回初公開されたFCトラクタは、水素を燃料とし、水素と酸素の化学反応によって生み出した電気でモーターを駆動させて走行する。そのため、走行中に排出するのは水だけであり、CO2の排出がないことから環境性に優れているのが特徴だ。また、水素の充填も一般的なバッテリーの充電よりも短時間で行えるという。

クボタは、2021年に国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の助成事業「燃料電池の多用途活用実現技術開発」に採択されて以降、本格的にFCトラクタの開発を進めてきた。

今後は、国内のほ場における実証実験段階に移行し、農作業への適合性確認やトラクタに適した水素供給手段を検討しながら、実用化をめざしていくという。

FCトラクタ試作機の概要
サイズ（約）：全長4200 × 全幅1810 × 全高3100（mm）
最大出力：60馬力のディーゼルエンジン搭載トラクタと同等水準
燃料：圧縮水素
燃料電池種類：固体高分子型
想定する用途：一般の農作業用途全般


株式会社クボタ
https://www.kubota.co.jp/