高い排水性や水分を要する作物に適した「ココカラバッグXタイプ」が発売

施設園芸向けヤシガラ培土(ココピート)の製造販売を手がけるココカラ合同会社は、ココピートとカットファイバー、チップを独自配合した培地をポリ袋に充填した「ココカラバッグXタイプ」の販売を2024年4月11日から開始した。


多くの水分と高い排水性を必要とする作物に最適


ココカラ合同会社は、2016年に設立された農業資材メーカーで、主に施設園芸向けの培土「ココカラピート」の企画・製造販売や、土壌改良材の販売を行っている。南インドにある自社工場で製品を生産し、日本国内では270以上の生産者に利用されている実績を持つ。

「ココカラバッグ」は、1/5に圧縮したココピート培地をポリ袋に入れたもの。病害が発生した際には、袋のみを交換できるため、被害を最小限に抑えることが可能で、隔離栽培に適しているという。

同社の従来製品であるココピート主体のスタンダードタイプ(CPタイプ)は、あらゆる作物に使えるものの、夏越しトマトなど、水はけの良さが重要な作物には適さなかった。

排水性を高められるココチップが混合された排水性特化型(Cタイプ)も提供しているが、チップが多いとバッグ内の水分分布が不均一になるほか、分解が早いことから物理性が変化しやすいという利用者の声があったという。

そこで同社は、ココピート、カットファイバー、チップを独自配合することで、これらの問題を解決する「ココカラバッグXタイプ」の提供を開始した。これにより、高い排水性が求められるパプリカや、多くの灌水が必要な夏越しのトマト、夏いちごに最適な栽培環境を作ることが可能となった。

「ココカラバッグXシリーズ」の特徴は、以下の通りだ。

1.高い排水性でロックウールに近い栽培環境が可能

実証実験で従来製品のCPタイプと新製品のXタイプを比較したところ、Xタイプの排水率がCPよりも20%高い結果が得られた。

上記図は気相の割合が高いほど、排水性が高いことを示しています(自社調べ)
2. ドライアウトのコントロールが容易

排水性を高めるチップ入り製品と比べて早く乾くため、1日のうちの培地内の最高水分率と、最低水分率の差(以下、日水分DIF)を管理でき、ロックウール栽培と同様の管理でドライアウトのコントロールが行える。

3. バッグの密度が均一

ココピート、カットファイバー、チップを均一に混ぜているため、バッグ内の密度はどこでも一定となっている。実験では、株式会社村田製作所が製造する「土壌センサ」を使用し、どこに挿しても安定的な数値が測れることが確認されている。

提供:株式会社村田製作所
株式会社村田製作所「土壌センサ」

4. 収量向上が可能に

排水性を高めるためにチップを入れると、上部には水がないため根が広がらない。しかし、Xタイプはココピート、カットファイバー、チップを均一に混ぜることで水分分布が均一になり、バッグ全体に根が広がるため養水分の吸収が効率的に行われ、収量を上げることが期待できる。

また、作物ごとに最適な環境を作るため、栽培する作物に合わせてバッグのラッピングのタイトさを変えている。

5. 約2年間使用することが可能

一般的にチップは早く分解して物理性が変化するため、チップ入りの培地の使用期間は1年間が基本だと言われている。

一方、Xシリーズに関してはココピートのほか、小さいチップとファイバーで構成されていて、物理性の変化がほぼなく、栽培状況により異なるが複数年使用できる。

6. 栽培環境に合わせた排水性が可能に

日水分DIF10%や日水分DIF30%など、排水性をカスタマイズでき、生産者の栽培に合わせた排水性を実現できる。


【製品概要】
品名:ココカラバッグXタイプ
品番:GBT-H-X70(トマト用)、GBP-H-X70(パプリカ用)、GBS-L-X50(イチゴ用)
形状:100×15×12cm/ 100×15×10cm/100×20×12l(イチゴ用) ※カスタマイズ可能
EC:1mS / cm以下
pH:5.5-6.5 (*):1:1/5で測定
価格:https://cococara.jp/news/info/flower-chipよりお問い合わせ


ココカラ合同会社
https://cococara.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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