パンより太りにくい? 炭水化物の中でも「お米」がおすすめな理由

料理研究家でごはんソムリエの秋元です。この連載ではお米をおいしく食べるために“知っておくと役に立つお話”やレシピをお伝えします。

お米の消費量は年々減少していますが、その一方で脂質やエネルギーの摂取量は増加傾向にあります。これは糖尿病などの生活習慣病の原因であるとも言われていて、近年では子どもの肥満や生活習慣病も増えています。

また、日本人は糖質を分解してエネルギー源とする際に必要な「インスリン」の分泌能力が欧米人より低いと言われています。近年増えてきた欧米型の食生活では、それに見合った量のインスリンを分泌できず、糖尿病になりやすい傾向にあるのです。

健康には、やはり日本人が昔から食べてきた「お米」がおすすめ。ごはん食にどんなメリットがあるのかご紹介します。


お米の献立はバランスがとれる


健康のためには、低脂質でバランスのよい食事と食べすぎないこと(腹八分目)がまずは大切。ごはんに味噌汁、納豆、焼き魚といった日本型の食生活は、とてもバランスがとれています。主食としてごはんが勧められる一番の理由はここにありますが、難しいことは考えず、ごはんと具沢山味噌汁でも十分です。

また、お米には効率のよいエネルギー源となる炭水化物が多く含まれていますが、小麦やトウモロコシなど他の穀類に比べ、たんぱく質を構成するアミノ酸の組成が良いというのも特徴です。

必須アミノ酸と言われる9種類のアミノ酸は、体内では十分な量を合成できないため、食事など栄養素として摂取する必要があります。そして、お米の中では少ないリジンという必須アミノ酸は、大豆に多く含まれていることから、日本食の定番である「味噌汁」「納豆」「豆腐」の食べ合わせで補うことができるのです。


玄米は炭水化物の中でも低GI食品


さらに、主食となる炭水化物は同じ量でも、血糖値が急激に上昇するものと穏やかに上昇するものがあります。食後血糖値の上昇を表す指標「GI値」というものがあり、ごはんはバターや糖分を含んだパンよりもGI値が低く、ごはんの中でも白米より玄米の方が低GIです。

高GIの食品を食べたり、ドカっと食べてしまうことは、血糖値を急激に上昇させ、インスリンも多く分泌されてしまいます。その結果、たくさんの“糖”を脂肪として体にため込み、太ることにつながってしまうのです。

低GIの食品を選んだり、野菜や海藻などの食物繊維を食前に食べることは、太りにくい体質になると言われています。白米に食物繊維が豊富な「押し麦」などの雑穀を加えたり、玄米を選択することも有効な選択なのです。

ダイエットや妊婦さんの食事におすすめしたい玄米のメリット
「玄米」は低GI食品として優秀なんです【ダイエットにも効果的】
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管理栄養士が教える、妊娠中からはじめる「玄米ごはん」のススメ
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腹持ちが良く消化吸収がおだやか


ごはんは製粉した小麦から作るパンや麺と違い、粒のまま食べる「粒食(りゅうしょく)」のため、体内で炭水化物がでんぷんから糖に分解されるまでに一定の時間がかかり、腹持ちが良く消化吸収が穏やかで血糖値が上がりにくいと言われています。

こういった消化吸収について知ることも、健康的な生活を送るためにとても大切なことです。

※※※

炭水化物の中でもお米を選ぶべき理由を紹介してきました。

お米には白米の他にもさまざまな種類があります。自分の食生活にあったお米選びは、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。

雑穀や古代米は健康にいいの? 玄米との違いは?【お米選びの基礎知識】
https://smartagri-jp.com/food/2966

欠かせない栄養素である炭水化物を上手に摂取し、豊かな食生活を送りましょう。


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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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