管理栄養士が教える、妊娠中からはじめる「玄米ごはん」のススメ

玄米は、籾から籾殻を取り除いた状態、つまり、精白されていない状態のお米のこと。白米よりも一枚ベールがかかったような玄米には、ビタミンやミネラル、食物繊維など多くの栄養素が詰まっています。

また、玄米はかたい殻に覆われ、外敵から身を守りながら、次の世代を残すために栄養を蓄えている「植物の種」。小さな粒でも、次の世代を残すための栄養と生きるエネルギーが詰まっています。


主食となるごはんを白米から、たくさんの栄養素とエネルギーが詰まった玄米に代えるだけで、効率よくかつバランスよく栄養素を摂取することができ、たくさんの健康効果が期待できるのです。

お腹の中の赤ちゃんに栄養を与え続けるため、そして自身の健康維持のためにも妊婦さんが玄米を食事に取り入れない手はありません。


妊婦さんにいいことがたくさん!玄米ごはんのメリット


便秘解消の強い味方

妊娠中は、ホルモンの影響や体型の変化で便秘になることが多いですよね。また、食事量が減ってしまう方も多いと思います。食事量が減ると便をつくる元が少なくなり便量が少なくなれば、排出できる量になるまで腸の中で溜まってしまうこともあるため便秘になりやすくなります。

玄米には食物繊維が多く含まれ、特に水分を吸収して大きく膨らむ不溶性食物繊維が多く、カサを増やしてぜんどう運動を活発にし、排便を促すはたらきがあります。また、大腸で腸内細菌が発酵・分解することによって腸内環境が良くなり、整腸効果が高まります。実は、白米を玄米に代えるだけで便秘が良くなった! という妊婦さんも多くいるのです。

白米と比べると消化しにくいため、つわり時の食欲減退時や体が弱り気味の時は無理する必要はありませんが、頑固な便秘に悩む妊婦さんはもちろん、便秘気味の妊婦さんも「玄米」を食べる機会を増やしてみると良いでしょう。

体すっきりデトックス!

デトックスとは体内に溜まった老廃物や毒素を排出すること、または分解することを言います。玄米には体の中に入ってきた有害物質や体の中のいらないものを体外へ排出するはたらきがあります。これも食物繊維が多く含まれているため。

デトックスによって腸をきれいにし、元気にすることができます。それにより、血液が浄化され、質の良い血液を循環できるようになります。お腹の中の赤ちゃんにも十分に酸素と栄養が届きますよね。

妊娠中の食べ過ぎを防止

玄米は白米よりも噛み応えがありますよね。良く噛んで食べることができるので、妊娠中の食べ過ぎを防止することができます。

また、噛むことは造血作用、つまり新しいサラサラとした血液を作ることにつながり、酸素や栄養素を体のすみずみまで運ぶことができます。

ほかにも、免疫力アップ、腸内環境を良くする、虫歯予防、消化吸収・内臓への負担を減らす、消費エネルギーが増え体熱発生につながる、など噛むことは多くのメリットがあります。

いつもの白ごはんはあまり噛んでいないかも……という妊婦さんは玄米に代えることで「良く噛む」習慣が身に付くはず。妊娠中に習慣化すれば、生まれてきたお子さんにも良く噛むことの大切さを無理なく伝えることができ、楽しくお食事ができるのではないでしょうか。


玄米を食べるときに気を付けること


しっかり浸水させて食べよう!

玄米は白米よりも一枚ベールがかかっているため水を吸いにくく、高い栄養価を効率よく体に取り入れるためには十分に浸水させることが大切です。目安は夏場は12時間、冬場は24時間浸水させると良いでしょう。

また、「塩」を加えて炊くのもおいしく作るポイントです。塩を加えることでやわらかく炊け食べやすくなり、また消化もしやすくなります。塩の分量は1合につきひとつまみ程度が目安です。

水溶性食物繊維が含まれる食べ物もバランスよく食べよう!

玄米に多く含まれる食物繊維は、「不溶性食物繊維」。食物繊維にも2種類あり、不溶性食物繊維は摂り過ぎると腸内でガスが発生し、妊婦さんは余計にお腹が苦しくなりやすいです。

食物繊維の多いものは便秘解消に効果がありますが、玄米を含めた穀類やごぼう・さつまいもなどの根菜類、豆類には不溶性食物繊維が多く含まれています。海藻、果物、納豆などに多く含まれている「水溶性食物繊維」が含まれる食べ物も一緒にバランスよく食べるようにしましょう!

便秘予防・改善、腸内環境を整えるためには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂ることも大事です。例えば「玄米ごはんと納豆、わかめの味噌汁」。こんなシンプルな和食がお腹の中の赤ちゃんとお母さんの体を作ってくれますよ。

安全性にこだわろう!

玄米には「糠」がありますよね。そこには多くの脂肪分を含んでいて、そこに農薬が残留しやすいと考えられています。外の影響を強く受ける食べ物のため、できれば少ない農薬で栽培された玄米を選びましょう!

せっかく生まれる赤ちゃんや自分自身の健康のために玄米に代えたとしても、玄米の選び方や調理の仕方によって体への負担が大きくなってしまうこともあります。毎日食べるものだからこそ、安心できるものを選んでいきましょう。


いかがでしたか? 玄米は完全栄養食と言われていますが、妊婦さんにもお腹の赤ちゃんにも良いことづくめ。妊娠中から「玄米ごはん」を始めてみませんか。

 

■妊婦さんにあんしん・安全な玄米を選ぼう!


玄米のメリットがわかったところで、実際に玄米を購入するときには、妊婦さんにあんしんな商品を選びたいものです。

お米に残留農薬がある場合、農薬は油に溶けやすい性質があるため、7割〜8割は脂質が多いぬかや胚芽の部分にたまるとされています。ぬかや胚芽は精米すれば取り除かれる部分ですが、それらが残ったままの玄米で食べる時には少し気をつけたいところ。

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、AI・ドローンなどを用いて農薬の使用量を減らした、農家にも消費者にもやさしいお米。玄米でも安心してお召し上がりいただけます。

お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

【コラム】今日から始める玄米生活
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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