農産物の生産履歴と取引状況を可視化「SMAGt」開発

電通国際情報サービスが、農産品の生産履歴と取引状況を可視化できるスマート農業データ流通基盤 『SMAGt(スマッグ)』を開発した。

SMAGt(スマッグ)とは


SMAGt(SMart AGriculture Traceability)は、ブロックチェーン技術を用いた農産物向けのデータ流通基盤。
出荷、流通、販売までのデータが、耐改ざん性の高いプラットフォームで可視化できる仕組みだ。


実装すれば、農産物の安全性や生産者のこだわりを提供したり、輸出規制に対応したデータを効率的に取得することが可能になるとのこと。
地場農産品のブランド化や食品偽装の防止、輸出拡大に取り組む農業関係者への提供が予定されている。

事業化へ向けた実装検証を実施


同社では、複数の自治体や企業の協力のもと、事業化に向けた実装検証を行っている。

1. 『SMAGtのデータを活用し「安心・安全の根拠」を』(福島県広野町振興公社)

2019年10月5日に開催された「ふたばワールド2019」では、SMAGtのデータを活用し地元産バナナの「安心・安全の根拠」をPRした。

ふたばワールド2019での販売の様子
東日本大震災および福島第一原発事故で甚大な被害を受けた福島県広野町では、農業と観光の再生に向け、町の新たな特産品として国産バナナの栽培に取り組んでいる。

2.『SMAGtのデータを活用した「スマート農業化」への取り組み』(鳥取県鳥取市)

2019年10月25日と11月8日に大阪の中之島フェスティバルタワーで開催された「とっとり旬菜マルシェ」では、SMAGtのデータを活用した「スマート農業化」への取り組みをPRした。


鳥取市では、地域の農業生産基盤強化の重点課題のひとつとして「梨リレー栽培モデル」の確立に取り組んでいる

3.  『SMAGtのデータで「こだわりの栽培情報」を』(株式会社地域商社とっとり)

2019年11月29日~12月8日にマレーシアで行われた鳥取産梨の販売会では、SMAGtデータを活用した「こだわりの栽培情報」をPRした。


SMAGtで日本農業の生産性向上と競争力強化を


同社では2016年から宮崎県綾町と共同で、ブロックチェーンを活用した有機農産物の生産や、流通履歴、消費行動までを記録・可視化するシステムの構築に取り組み、実証を重ねてきたという。

今後も農業IoTプラットフォームの構築や、生育環境等のデータ活用のためのソリューション・ビジネスに取り組み、日本農業の生産性向上、競争力強化に貢献していきたい考えを示している。


株式会社電通国際情報サービス
https://www.isid.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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