農業シミュレーター「Smart3tene(スマート・ミテネ)」がリリース、仮想空間での機械学習が可能に

株式会社プラスプラスは、スマート農業開発のオープンイノベーションをコンセプトにした農業シミュレーター「Smart3tene(スマート・ミテネ)」を2020年2月5日に発表した。莫大なデータが必要とされる農業用AIの機械学習に活用することで、スマート農業のさらなる普及を目指すとしている。


Smart3tene(スマート・ミテネ)は、AIの機械学習を仮想空間で行う農業AI専用のシミュレーター。

3DCGで表現された仮想空間には、樹木や果実、野菜などが生成され、全天候型のバーチャル農園が高精細に再現されている。仮想空間で学習した摘果や収穫等の動作は現実空間での作業動作にも反映される。



仮想空間中の植物は、実際の観察で得られたアルゴリズムによって生成され、GAN等の機械学習を活用したテクスチャ、モデル、学習用画像も生成される。季節や天候、時間の設定も可能で、現実世界では得難い膨大な数の育成データを再現するとのこと。キャラクター化したロボットが映像で作業状況を確認する機能も備えている。

ロボット開発向けの機械学習用途のほか、VRによる農業体験や教育、農地レイアウトの視覚的な検討など、農業環境ビジュアライズソフトウェアとしての活用も期待されている。

Smart3teneイメージキャラクター「およね」

イラストを使ったキャラクターでエンターテイメント性も演出。

「Smart3tene」参考動画


現実世界と仮想空間をつなぎオープンイノベーションを


作物別の育成環境や収穫期間など莫大なデータを要する農業用AIの機械学習は、スマート農業の普及において解決すべき課題の一つとされている。自動車業界など自動運転の領域では、仮想空間を利用した機械学習が一般化してきているが、農業界でのシミュレーター環境は確立されていない状況だという。

2017年の統計によれば日本の食料自給率は38%で、2030年には現在の農業従事者のおよそ半数が減少すると言われている。同社では企業や研究機関、政府や自治体などを結ぶオープンイノベーションの実現を目標に、今後も農業の自動化に向けた研究開発を進めていく考えだ。


株式会社プラスプラス
https://www.plusplus.jp/
Smart3tene(スマート・ミテネ)
https://smart.3tene.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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