次世代型潅水システムを開発したHappy Qualityが総額1億円の資金調達を実施

株式会社Happy Qualityは、信金キャピタル株式会社、浜松磐田信用金庫らが出資する、しんきんーやらまいか投資事業有限責任組合(やらまいかファンド)を引受先とした第三者割当増資による5,000万円の資金調達と、浜松市ファンドサポート事業を活用した5,000万円の資金調達を実施した。

調達した総額1億円の資金は、国立大学法人静岡大学と共同で開発した「AIの判断に基づく灌水制御システム」の製品化および精度向上のほか、技術開発や普及促進に充当していくとのこと。


Happy Qualityは、AIなど近代的農業の企画立案や農産物の販売支援を行う静岡県の農業コンサルティング企業だ。
「農業の新しいStandardを作る」というビジョンのもと、農家の減少や高齢化など農業における社会課題をテクノロジーを用いて解決する「データドリブン農業」の研究開発を進める。
豊富なリコピンと程よい酸味が特徴のトマトや、カリウム濃度を半分以下に抑えたメロンの生産・販売も行っている。

 「次世代型潅水システム」でデータドリブン農業の実現を


「AIの判断に基づく灌水制御システム」は、高糖度トマト栽培に必要とされる適度な水分量をAIが判断する次世代型の潅水システム。2020年2月に発表された実証実験の成果では、平均糖度9.46の高糖度トマトが栽培できることが示されたほか、95%の可販果率で生産できることが実証されている。

同社は、ビックデータやAI、光学センサー等といった専門知識を持つメンバーが研究開発を重ね、農家をフランチャイズ化することで全量買取品質保証による高単価販売を実現してきたと語る。

今回の資金調達先である、やらまいかファンド無限責任組合員の信金キャピタル代表取締役の山口和男氏は、
「しおれ・気孔開度を画像検知しAIによる自動灌水制御システムの開発」「非破壊非接触で品質を可視化できるIR(赤外)センサの開発」など世界初の取組みにチャレンジしており、国や自治体の事業採択状況等から、Happy Quality社の成長性および発展性は高いととらえました。
と、評し
各農家をフランチャイジーとする同社の事業展開は、農業人口の減少および高齢化といった問題の解決につながるため、地域経済の発展に寄与するものとなります。
と、コメントしている。

今後も国内での事業拡大に努めながら、グローバルな展開を視野に「データドリブン農業」による課題解決に取り組む考えだ。


株式会社Happy Quality
https://happy-quality.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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