糖度と大きさのバランスを制御して“トマトの新基準”を打ち立てたい──AIでつくる高糖度トマト(後編)

株式会社Happy Qualityとサンファーム中山株式会社(いずれも静岡県袋井市)は、高糖度トマトを安定的に生産するために静岡大学の峰野博史教授に接触した。その結果、葉のしおれ具合から、かん水を制御していくことができるように。本記事では、前回の技術を踏まえて、トマトの糖度はどのように変化したのかについて詳しく触れていく。

Happy Quality社とサンファーム社が産業技術総合研究所(茨城県つくば市)との共同研究で開発にめどをつけたのが、畑で生育中のトマトを破壊することなく、一玉ごとに糖度と酸度を計測する赤外線センサーだ。経時的にセンシングすることで、糖度と酸度のバランスが取れた良食味のトマトを安定的に生産できると考えている。実用化は2021年3月の予定だ。

株式会社Happy Qualityの宮地誠さん(左)と、サンファーム中山株式会社の玉井大悟さん(右)


糖度と肥大を両立させるために生育中のデータを確認

サンファーム社は野菜の生産を、Happy Quality社はその流通を担っている。目下注力するのは、タキイ種苗株式会社が開発した糖度とリコピンを売りにした中玉トマト「フルティカ」を使った、自社ブランド「Hapi toma」。サンファーム社の収穫物はすべて同社を通じてスーパーや飲食店などに直接出荷している。

特徴的なのは、独自に糖度とリコピンを計測するセンサーを取り付けた選果機を造り、全量検査していることだ。全国でも糖度とリコピンの全量検査は非常に珍しい。リコピンで100g当たり6mg以上、糖度の指標とされるBrixで6~13がブランドとして認証する条件となる。糖度は6から13の間で1単位ごとに選果し、各糖度に応じて商品化していることを覚えておいていただきたい。

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【事例紹介】スマート農業の実践事例
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
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  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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