農水省と農研機構、「2020年度スマート農業実証プロジェクト」52件を公開

農林水産省農研機構は、2019年12月26日~2020年1月31日に公募していた「2020年度スマート農業実証プロジェクト」の委託予定先事業を決定し、52件の概要を公開した。

採択を受けた52件は、プロジェクトの実証課題審査委員会が応募総数144件の中から決定したもので、委員会は「2019年度に採択が少なかった品目や取り組みに加え、先端技術の導入コスト低減を図るシェアリングやリース等、新サービスの創出に資する取り組みを考慮した」としている。


スマート農業実証プロジェクト」 は、農林水産省と農研機構が2019年に開始したスマート農業に関する実証プログラムだ。
ロボットやAI、IoT等の先端技術を活用したスマート農業の社会実装を目的に、2019年度は全国69カ所の実証農場において、ドローンによる作物の観察や、無人ロボットトラクターの運用、栽培ノウハウのデータ化などの検証が行われた。

棚田や中山間地域で31地区、被災地で9地区、新サービスの創出として7地区を採択

2020年度は、棚田や中山間地域で31地区、被災地で9地区、新サービスの創出として7地区が採択された。
品目別の内訳は、水田作9件、畑作8件、露地野菜・花き15件、施設園芸6件、果樹・茶9件、畜産5件となっている。

 水田作で採択されたのは、公立大学法人熊本県立大学による「スマート農業を導入した国際水準の有機農業の実践による中山間地域と棚田の活性化モデルの構築」や、新潟県の「棚田地域の多様な条件不利圃場におけるスマート農業技術を活用した持続可能な営農技術の実証」。

畑作においては、株式会社NTTデータ経営研究所が取り組む「スマート農業技術を活用した落花生生産の機械化:一貫体制による大幅な労働工数削減と品質確保の実証」。

施設園芸では、茨城県農業総合センターの「直売イチゴ経営におけるスマートフードチェーン構築によるデータ駆動型高収益経営体系の実証」ほか、熊本県益城町の「パイプハウス土耕栽培葉菜類のIoT化・機械化によるスマート化実証」などが採択されている。

農研機構では今年度より、これらの地区についても積極的に事業を推進していく考えだ。


農研機構「スマート農業実証プロジェクトの採択について」
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/naro/134727
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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