仮想空間でAI栽培シミュレーションできるプラットフォームが誕生

高品質・高単価なトマトを生産する栽培手法の提供を通じて新規就農者の独立を支援する株式会社Happy Qualityと農業分野の画像解析技術の研究開発を手がける株式会社フィトメトリクスは、農作物の栽培環境を仮想空間上に完全再現するプラットフォームの提供を開始した。

両社は、 このプラットフォームの提供を通じ、データドリブン農業の実現に向けた取り組み推進していくと同時に、「高齢化や後継者不足など、さまざまな人的課題を抱える日本農業の課題を解決していきたい」としている。


3Dデジタルツインを活用した栽培シミュレーション・システム


両社が提供を開始したプラットフォームは、Happy Qualityが保有する細密栽培管理技術とフィトメトリクスが保有する農業AI技術に、物理空間で取得した情報をデジタル空間に再現する3Dデジタルツイン技術を組み合わせて開発した農作物栽培専用のシミュレーション・システムで、以下3つのサービスの提供をスタートしている。

1.遠隔栽培指導


栽培指導の対象となる圃場を仮想空間上で確認できるため、非対面・非接触でも的確な栽培指導が行える。

2.AI教師データ生成


果実の個数計測や熟度の推定、 病害虫診断等のデータをシミュレーション空間で生成することで、データ収集やデータラベリングの作業を省力化できる。

3.栽培環境の構築シュミレーション


農業ハウスの間取りをシミュレーションすることで、農業資材の見積りや導線の整理、収量予測の算出が行える。


日本農業は、5Gの普及など通信技術の高速化を背景に、農業のDX化(デジタル・トランスフォーメーション)が進む一方で、農業データの蓄積に膨大なコストと時間が費やされている。

今後は、農作物の生育状況等の画像データ情報をタグ付けする業務を施した、機械学習・深層学習における商用利用可能な画像データセットの生成や環境情報・生育情報データを計測するセンサー開発、バーチャル農業技術研修の実施等にも役立てていきたい考えだ。



株式会社Happy Quality
https://happy-quality.jp/
株式会社フィトメトリクス
https://www.phytometrics.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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