AIで露地レタスの生育を予測 日立ソリューションズとトップリバーが実証開始

生産計画システム等を展開する株式会社日立ソリューションズ東日本は、長野県を本拠に野菜の生産・販売や新規就農者の育成を手がける有限会社トップリバーと共同で、農林水産省が実施するスマート農業技術の開発・実証プロジェクトのひとつ「AIを活用したレタスの生育予測」の本格運用をトップリバーの御代田農場・富士見農場で開始した。

従来よりも高い予測精度を実現


日本の野菜流通を支える契約出荷では、生産ロスを最小限に抑えながら約束した出荷量を確実に生産することが重要とされている。これまで、農作物の生育予測は、生産者の経験則に基づく方法が主に行われてきたが、気象条件の変動に左右されやすいなどの問題が指摘されてきた。

このような課題を背景に、近年は葉齢の測定など植物生理に基づいた方法の導入も検討されているが、専門家による一定期間の調整が必要になるなど、一般の農業者が導入するには難易度が高すぎる側面があるという。

両社が運用を開始した「AIを活用したレタスの生育予測システム」は、過去2年間の気象メッシュ情報(約1km四方の気象データ)と生育日数のデータを基に、AIが気象の変化による生育日数の変化および生育に影響を与えるパラメータを学習して時期毎の生育日数を自動算出するシステム。


実際の定植日と生育予測による収穫予定日がガントチャート形式で一覧表示されるため、経験や専門的な知識がなくても出荷量の見通しや将来の過不足情報を一目で確認できる。

実証実験では、収穫予測日と実際の収穫日の差を対象に、従来の生育予測システム、生産者の経験則に基づく予測、AIによる予測の3つのパターンで比較を実施。その結果、従来の生育予測システムを使用した方法(±4.6日)と生産者の経験則に基づく方法(±3.1日)を大きく上回る精度(±1.9日)で予測することに成功したそうだ。


今後は、レタス以外の葉物野菜での適用に加え、多品目、多品種への拡大も予定しているとのこと。


株式会社日立ソリューションズ東日本
https://www.hitachi-solutions-east.co.jp/
有限会社トップリバー
https://www.topriver.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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