リクルートと信州大学、農地情報整備に向けたAIモデルを共同開発
株式会社リクルートの研究開発機関であるアドバンスドテクノロジーラボは、国立大学法人信州大学農学部と共同で実施した「水田活用における畦畔(けいはん)管理の効率化に関する取り組み」の研究成果を発表した。
畦畔(けいはん)とは、水田の回りを囲む盛土部分のことで、水田の水漏れ防止や区画整理、除草・施肥作業に使用する通路の確保などの役割がある。
日本の農地の約4割を占めるといわれる中山間地域の水田は、平地に比べて畦畔の斜面の面積や角度が大きいため、維持するために必要な草刈り作業等を行うことができず、水田を手放す農業者も少なくない状況という。
このような状況を背景に、近年は農地の集積・集約化が進められているが、畦畔斜面の面積や角度が大きい中山間地域の水田の実質的な畦畔面積を正確に測定することは難しく、維持管理に必要な作業コストの算出できないなど、農業経営の改善に向けた取り組みには課題が残されていた。
「水田活用における畦畔(けいはん)管理の効率化に関する取り組み」は、航空写真に写る水田の畦畔をAIが認識・判別して、面積や傾斜角等の情報を可視化する技術の開発を目指したものである。
研究では、信州大学農学部が開発した水田の畦畔の正確な地形情報を計測する地理情報システムと長野県林務部が作成した精密標高データ「航空写真×数値標高モデル(Digital Elevation Model※通称DEM)」に、リクルートが事業を通じて培ってきたディープラーニングを中心としたAI技術および画像処理技術を加えて、「水張領域」、 「畦畔領域」、 「その他領域」の3つの農地区分を検出するAIモデルを生成する技術を確立。
長野県全域にある水田(約5万ヘクタール)を対象に、農地に占める畦畔の割合や面積、傾斜角を計測した畦畔データ(GIS用座標付ポリゴンデータ)を作成して、エリアや特徴が異なるデータを無作為に抽出してみたところ、すべての農地区分で97.7%の精度評価が得られたそうだ。
今後は、信州大学農学部が研究の主体となり、作成したデータをベースに水田1枚ごとの畦畔データを作成。
長野県以外の地域でも同様の結果が得られる高い汎用性を目標に精度の向上に努めながら、水田の畦畔を含めた全国の農地のオープンデータの公開を通じて、 県や市町村など地域行政と連携する「農地・畦畔見える化プロジェクト」の発展を目指す方針とのこと。
両者は、日本の中山間地域農業の課題の一つである畦畔管理作業にかかる費用(人件費・機械費・燃料費等)を「見える化」することで、「若手農家や農業法人の新規参入を促したい」としている。
アドバンスドテクノロジーラボ
https://atl.recruit-tech.co.jp
国立大学法人信州大学農学部
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/
中山間地域が抱える農業課題
畦畔(けいはん)とは、水田の回りを囲む盛土部分のことで、水田の水漏れ防止や区画整理、除草・施肥作業に使用する通路の確保などの役割がある。
日本の農地の約4割を占めるといわれる中山間地域の水田は、平地に比べて畦畔の斜面の面積や角度が大きいため、維持するために必要な草刈り作業等を行うことができず、水田を手放す農業者も少なくない状況という。
このような状況を背景に、近年は農地の集積・集約化が進められているが、畦畔斜面の面積や角度が大きい中山間地域の水田の実質的な畦畔面積を正確に測定することは難しく、維持管理に必要な作業コストの算出できないなど、農業経営の改善に向けた取り組みには課題が残されていた。
3つの農地区分を検出するAIモデルを生成
「水田活用における畦畔(けいはん)管理の効率化に関する取り組み」は、航空写真に写る水田の畦畔をAIが認識・判別して、面積や傾斜角等の情報を可視化する技術の開発を目指したものである。
研究では、信州大学農学部が開発した水田の畦畔の正確な地形情報を計測する地理情報システムと長野県林務部が作成した精密標高データ「航空写真×数値標高モデル(Digital Elevation Model※通称DEM)」に、リクルートが事業を通じて培ってきたディープラーニングを中心としたAI技術および画像処理技術を加えて、「水張領域」、 「畦畔領域」、 「その他領域」の3つの農地区分を検出するAIモデルを生成する技術を確立。
長野県全域にある水田(約5万ヘクタール)を対象に、農地に占める畦畔の割合や面積、傾斜角を計測した畦畔データ(GIS用座標付ポリゴンデータ)を作成して、エリアや特徴が異なるデータを無作為に抽出してみたところ、すべての農地区分で97.7%の精度評価が得られたそうだ。
今後は、信州大学農学部が研究の主体となり、作成したデータをベースに水田1枚ごとの畦畔データを作成。
長野県以外の地域でも同様の結果が得られる高い汎用性を目標に精度の向上に努めながら、水田の畦畔を含めた全国の農地のオープンデータの公開を通じて、 県や市町村など地域行政と連携する「農地・畦畔見える化プロジェクト」の発展を目指す方針とのこと。
両者は、日本の中山間地域農業の課題の一つである畦畔管理作業にかかる費用(人件費・機械費・燃料費等)を「見える化」することで、「若手農家や農業法人の新規参入を促したい」としている。
アドバンスドテクノロジーラボ
https://atl.recruit-tech.co.jp
国立大学法人信州大学農学部
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/
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