秋田高専、下水再生水を活用した酒造好適米栽培の実証実験を開始

秋田工業高等専門学校は、山形大学、秋田県立大学、九州大学と共同で、下水道資源を活用した水稲栽培手法を確立する大規模な実証試験を開始した。



水田に下水再生水を投入


今回の実証実験は、下水再生水を肥料として活用することで醸造酒に最適な酒造好適米を生産するもの。

下水再生水とは、下水処理場に集められた生活排水等をろ過・消毒して再生した水のことで、窒素・りん酸・加里など農作物の成長に必要な栄養塩を多く含むといわれている。しかし、有効活用に向けた具体的な方法を構築するまでには至っておらずほとんどの下水再生水が未活用のまま河川等に放流されてきた。

実験では、秋田県大仙市の酒造メーカーである出羽鶴酒造株式会社と上・下水道に関する企画・調査・研究・設計等を専門に手がける株式会社日水コン協力の下、30アール規模の水田に下水再生水を投入して化学肥料を使用しない酒造好適米の栽培を実施。


再生水を導水する装置

生育調査の様子

生育特性など慣行農法との比較を進めると同時に品質や土壌、水質、温室効果ガス排出量等への影響や生態系への影響など総合的な評価を進めることで、地域資源循環型農業と環境配慮型清酒製造に向けた取り組みを推進していく。

取り組みのイメージ
実証実験を通じて収穫した酒造好適米は、出羽鶴酒造の酒蔵を使用して醸造した後、秋田工業高等専門学校発の特別純米吟醸酒として商品化。2022年3月末を目途に一般に向けて発表する予定だ。

秋田工業高等専門学校は、赤潮などの植物プランクトンの異常増殖を招くとされている下水再生水を活用した水稲栽培を確立することで、栄養塩の除去に使用していたエネルギーも削減したい考えだ。


秋田工業高等専門学校
https://www.akita-nct.ac.jp/
株式会社日水コン
http://www.nissuicon.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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