第5回日本ベンチャー大賞はファームノートHDに 酪農・畜産関連企業では初

農業ベンチャー賞はファームノートHDが受賞

日本ベンチャー大賞は、次世代のロールモデルとなるような社会的インパクトのある事業を創出した起業家やベンチャー企業を表彰する制度だ。第5回となる日本ベンチャー大賞の農林水産大臣賞(農業ベンチャー賞)は株式会社ファームノートホールディングスが受賞した。酪農・畜産分野が同賞を受賞するのは初となる。

大賞を受賞した代表取締役社長 小林晋也氏(左)と吉川農林水産大臣(右)

今回の受賞にあたって、同社の提供するクラウド牛群管理システム「Farmnote」と、牛用IoTセンサー「Farmnote Color」が高く評価された。

授賞式に出席した安倍総理は挨拶にて、「ベンチャー精神こそが新しい時代を切り拓く鍵。(中略)これからもどんどん新しいものを生み出していっていただきたい。そして後に続く起業家たちに対して、大いに活躍姿を見せ、勇気を与えてほしい」と語った。

授賞式で挨拶する安倍総理

酪農・畜産向けクラウドシステム「Farmnote」

株式会社ファームノートHDが提供する酪農・畜産向けのクラウド管理システムは、従来の紙によるアナログな台帳管理等すべてをクラウド化し、あらゆるスマートデバイスでの共有と、時間や場所を選ばない管理を可能にしている。

酪農・畜産生産者の働き方を含む業務効率化を目的としたもので、情報の共有やコミュニケーションの改善、経営判断の的確化にも貢献する注目のクラウドシステムという。

安倍首相、吉川大臣にクラウドシステムを説明する小林氏

実際に導入をした生産者の評判は総じて良く、効率的かつ正確性に優れた管理能力はもちろんのこと、操作性を重視したUIにより、誰でも簡単に利用できる点も高評価だ。

日本の酪農飼養形態の50%以上を占める「繋ぎ牛舎」は、牛の行動量が大きく低下するため、従来のモニタリング製品では利用対象外となっていた。だがファームノートが開発した「繋ぎ牛舎」専用のアルゴリズムでは、限られた行動データの中から受精適期の検知が可能。従来ではなし得なかった飛躍的な生産性向上を図ることができる。

製品のリリースから約5年、現在では国内約2900戸の酪農・畜産生産者に導入されている。この数字は国内全体のシェアの約8%を占めるものであり、同社のスピーディーかつ真摯な顧客課題への解決姿勢が実を結んだ結果といえる。


今後の展開について代表取締役社長の小林晋也氏は「酪農や畜産分野のさらなる深堀、海外展開、ほかの農業分野への展開を見据えている」と語った。

<参考URL>
第5回「日本ベンチャー大賞」農林水産大臣賞(農業ベンチャー賞)受賞のお知らせ
株式会社ファームノート
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  1. よないつかさ
    1994年生まれ、神奈川県横浜市出身。恵泉女学園大学では主に有機栽培について学び、生活園芸士の資格を持つ。農協に窓口担当として5年勤め、夫の転勤を機に退職。アメリカで第一子を出産し、子育てをしながらフリーライターとして活動。一番好きな野菜はトマト(アイコ)。
  2. syonaitaro
    1994年生まれ、山形県出身、東京農業大学卒業。大学卒業後は関東で数年間修業。現在はUターン就農。通常の栽培よりも農薬を減らして栽培する特別栽培に取り組み、圃場の生産管理を行っている。農業の魅力を伝えるべく、兼業ライターとしても活動中。
  3. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  4. 沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
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    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。