伊藤忠テクノ、クラウドカメラを活用したいちご新品種の実証実験を開始

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、株式会社ソラコムが提供するクラウドカメラサービス「ソラカメ」を活用して、愛知県のいちご新品種「愛きらり®」の生育分析の実証実験を開始した。栽培工程の効率化や出荷の安定化を図り、2024年秋からの本格的な販売開始を目指すという。

なお、実証実験は愛知県のICT活用課題解決支援事業「AICHI X TECH(アイチ クロス テック)」の一環として行われる。

「愛きらり」の圃場イメージ

「愛きらり」は、愛知県と愛知県経済農業協同組合連合会(JAあいち経済連)が共同開発したいちごの新品種。果実が大粒で収穫作業の負担が少なく、収穫量も多いことから生産者の収益向上につながる品種として期待されているという。

愛知県では県内の各地域に適した栽培管理を実施して、県全体で高品質な「愛きらり」を安定的に出荷できる体制の構築を目指している。

ソラコムが提供する「ソラカメ」は、撮影したデータをクラウド上に自動で保管し、スマートフォンで確認したり、遠隔操作で撮影するタイミングを変更できるカメラソリューション。

時系列の変化や気象条件、栽培管理の異なる圃場ごとの違いを比較し、開花から収穫するまでの日数や肥大の程度、出荷基準に満たない果実の発生頻度など形状の変化をデータ上で閲覧できるため、より精度の高い分析が可能になるという。

圃場に設置する「ソラカメ」対応のカメラ

栽培工程の効率化や安定出荷を検証


今回の実証実験では、愛知県内の6つの圃場内に設置した「ソラカメ」対応のカメラで、時間の間隔を空けて画像を撮影し、いちごの株・葉の大きさ・果実の大きさ・色づき・数などを記録。生育や出荷実績、環境センサーで取得した気象データ等とカメラの画像データを照合し、収穫期間中の最適な栽培環境を導き出す。

伊藤忠テクノソリューションズは、カメラの設置やデータの収集と加工、愛知県や生産者へのアプリのトレーニングを提供。今回の実証実験で収集したデータを元に、最適な栽培環境を探り、栽培工程の効率化に貢献する。今後も分析の高度化や精度の向上を進め、農業分野におけるICTの活用を支援していくという。

実証実験の概要は以下の通りだ。

目的
「愛きらり」の最適な栽培条件の分析
期間
2023年9月~2023年12月
場所
愛知県内の圃場6か所
内容
・1圃場当たり、ソラカメ対応カメラ2台を設置
・圃場を撮影、クラウド環境上でデータを管理
・スマートフォンアプリでデータを確認
・出荷量や栽培管理、環境データなどと、撮影した生育データを組み合わせ、最適な栽培条件を解明する


伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
https://www.ctc-g.co.jp/
株式会社ソラコム
https://soracom.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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