NEDOとファームシップ、AIでレタスの生育状況を把握するアルゴリズムを開発

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と農業のコンサルティングなどを手がける株式会社ファームシップは、植物工場で栽培したレタスの重量を非接触・非破壊で推定するAIアルゴリズムを開発した。

生育異常の早期発見が可能に


両者は、「人工知能技術適用によるスマート社会の実現事業」の一環として、2次元画像を認識する技術である畳み込みニューラルネットワークと画像内に存在する物体の位置と範囲を推定する技術であるオブジェクトディテクションを組み合わせてレタスの重量密度を推定するアルゴリズムを開発。


両者が開発した技術の模式図
出典:https://farmship.co.jp/news/768/

植物工場で行われた実証実験では、20個のレタスが部分的に重なる画像の中から個々の矩形面積を抽出して、重量密度の計算を行わせてみたところ、栽培途中の個体を含む複数のレタスの重量を同時に推定することに成功したという。

両者が開発したAIアルゴリズムを用いたレタスの生育状況推定システムの概要図
出典:https://farmship.co.jp/news/768/

植物工場は、高品質な野菜を通年で栽培できるとして注目を集めているが、個々の生育状況のばらつきを完全に把握することは難しく、「成長の遅い固体を発見して、生育状況の良い環境への移し変えを検討しても、個々の成長のばらつきを抑えることができない」という課題を抱えていた。

実際の植物工場で栽培中のレタスの重量分布例
出典:https://farmship.co.jp/news/768/

両者は、農作物の生育状況のばらつきを早期に発見することで、安定した需給体制を維持できる生産システムを構築していく構えだ。


国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
https://www.nedo.go.jp/
株式会社ファームシップ
https://farmship.co.jp/
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  1. よないつかさ
    1994年生まれ、神奈川県横浜市出身。恵泉女学園大学では主に有機栽培について学び、生活園芸士の資格を持つ。農協に窓口担当として5年勤め、夫の転勤を機に退職。アメリカで第一子を出産し、シカゴ生活を綴るブログを運営。一番好きな野菜はトマト(アイコ)。
  2. syonaitaro
    1994年生まれ、山形県出身、東京農業大学卒業。大学卒業後は関東で数年間修業。現在はUターン就農。通常の栽培よりも農薬を減らして栽培する特別栽培に取り組み、圃場の生産管理を行っている。農業の魅力を伝えるべく、兼業ライターとしても活動中。
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    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
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    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
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    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。