サグリ、「筆ポリゴン」を活用して大豆の安定生産における土壌診断を実施

衛星データを活用した土壌診断技術を開発するサグリ株式会社は、PwCコンサルティング合同会社と共同で実施した「令和3年度 農林水産省 筆ポリゴンを活用した土づくりによる大豆収量の見える化調査業務」の結果を報告した。


現在、日本では地球温暖化の影響など農業生産の持続的発展のため、大豆など水稲に代わる代替作物の作付面積を増やす取り組みが進められているが、堆肥など有機物の施用の減少や画一的な施肥の実施による土壌の地力低下等を原因に、国産大豆の生産が伸び悩んでいる状況という。

適切な土壌管理を推進


「令和3年度 農林水産省 筆ポリゴンを活用した土づくりによる大豆収量の見える化調査業務」は、農地の区画情報である筆ポリゴンを活用した実証実験を通じて、生産者が適切な土壌管理を実施するために必要な技術を調査したものである。

実証実験の内容
1.実証地区における圃場・環境・収量・土壌・営農・栽培等の調査
圃場・環境・収量・土壌・営農・栽培等の情報について調査し、収集した調査結果を筆ポリゴンと重ねて整理した。
2.筆ポリゴンを活用したほ場ごとの土づくりによる増収効果の見える化手法の検討
収量データとその他データとの相関係数を調査した上で、すべての取得データを筆ポリゴンに紐づけ、改善項目や増収効果等を筆ポリゴン上で見える化した。
3.今後の展望についての検討
検討した増収効果の見える化技術の実用的な普及拡大に向けて、今後の課題や考えられる対応方策、他地域への活用の可能性等について検討・整理した。
サグリが報告した内容は以下の通り。

・衛星データによる土壌の化学性パラメータの予測結果
秋田県八峰町の圃場を対象に、土壌の化学性の予測値の妥当性を検証した結果、衛星データから予測した一部の土壌の化学性パラメータの予測値と実測した測定結果に高い相関関係がみられた。


・衛星データによる土壌水分量の予測結果
秋田県八峰町の圃場を対象に、SAR衛星から取得できる波長データから土壌水分量の推測を実施して、排水性の高低を地図上に表示した結果、圃場ごとの排水性の良否を判断することに成功した。



今後は、衛生データ解析の社会実装に向けアプリケーションの開発も進めていくという。

サグリ株式会社
https://sagri.tokyo/
PwCコンサルティング合同会社
https://www.pwc.com/jp/ja
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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