垂直離着陸可能な固定翼ドローンでセンシング エアロセンスとナイルワークスが連携

ドローンの開発などを手がけるエアロセンス株式会社と株式会社ナイルワークスは、広域対応ドローン「エアロボウイング(AS-VT01)」を活用してデータ駆動型農業の実現に取り組む戦略的業務提携を締結した。



「エアロボウイング」は、エアロセンスが開発・設計・製造・販売を手がける垂直離着陸型固定翼(VTOL)型ドローン。

最大飛行距離50kmの長距離飛行を実現する「固定翼」、植生状況を高解像度で撮影する「マルチスペクトルカメラ(MicaSense® ALTUM)」、安定した飛行制御や映像伝送を可能にする「LTE通信機能」、農地など狭い場所でも滑走路なしで離着陸する「垂直離着陸」の4つを活用して、データ駆動型農業の実現に必要な農業センシングデータを広範囲に取得する。

エアロボウイング(AS-VT01)

2021年に両社が共同で実施した実証実験では、北海道にある約300ヘクタールの水稲圃場と牧草地を対象に、「エアロボウイング」を高度100~150mで飛行させ、圃場の中解像度・広域・スペクトル分布画像を30分程度で撮影することに成功。

現在は、エアロセンスが提供する画像解析クラウドソフト「エアロボクラウド」を活用して、ナイルワークスが水稲の作況や倒伏の程度を識別する画像や牧草地に発生した難防除雑草を抽出・解析する画像の解析を実施している。

水稲の作況や倒伏の程度を識別する画像。
牧草地に発生した難防除雑草を抽出・解析する画像。

自動農機との連携や営農判断に利活用


今回の業務提携では、「エアロボウイング」で取得した中解像度・広域・スペクトル分布画像とナイルワークスが保有する上空30~50cmを自動飛行する農業用ドローンを使用した近接撮影技術・画像認識技術を組み合わせて農作物の状態を解析。

ナイルワークスが保有する上空30~50cmを自動飛行する農業用ドローンを使用した近接撮影技術・画像認識技術

その後、ナイルワークスが提供する農地データプラットフォーム「NileBank」に解析したデータを集約し、自動農機との連携や営農判断に利活用していく。

エアロセンスとナイルワークスの提携による農業センシングデータ利活用のソリューション開発のイメージ。

参考動画:「空からの農場センシング エアロセンス×ナイルワークス」

両社は、今回の業務提携を通じ、データを活用した農業生産を普及していくことで、生産者一人当たりの作業負担が増えている状況にある日本農業を支援していきたい考えだ。


エアロセンス株式会社
https://www.aerosense.co.jp
株式会社ナイルワークス
https://www.nileworks.co.jp
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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