天地人、衛星データ活用で栽培する新プロジェクト「月面アスパラガス」をスタート

JAXA認定の宇宙ベンチャー企業である株式会社天地人は、地球観測衛星データを用いた土地評価エンジン「天地人コンパス」を活用して農作物を栽培する農業ブランド「天地人ファーム」を立ち上げた。


「天地人コンパス」は、地球観測衛星で得た気象情報や地形情報を活用して、その土地の天候や気象、地形的背景を分析し、農作物の栽培に適した土地を特定する同社独自の土地評価エンジンである。

宇宙からの視点を基に世界の農業課題を解決


「天地人ファーム」は、気候変動の影響による栽培適地の縮小や農業人口の減少・高齢化による耕作放棄地の増加など世界の農業が抱える課題を解決するために立ち上げられたプロジェクト。

プロジェクトでは、「天地人コンパス」を活用して、宇宙からの視点を基に世界の農業課題を解決していく。

現在、進められているプロジェクトの内容は以下の通りだ。

1.気候変動に対応したブランド米「宇宙ビッグデータ米」の生産

米卸売事業を手がける株式会社神明とスマート水田サービスを提供する株式会社笑農和と共同で2021年から実施しているプロジェクト。

プロジェクトでは、「天地人コンパス」を活用して、神明が提供する「独自開発の米品種」の栽培に最適な土地を特定。

その後、笑農和が提供するスマート水田サービス「paditch(パディッチ)」を使用して水田の水管理を行った結果、トップブランドのお米と同等の食味スコアを獲得することに成功したという。

2022年秋に収穫された「宇宙ビッグデータ米」

2.月面でのアスパラガス栽培を目指す「月面アスパラガス」

「宇宙ビッグデータ米」の経験を生かした新たなプロジェクト。
アスパラガスは、強い抗酸化作用を持つ「ルチン」を豊富に含む野菜として知られている。



プロジェクトでは、「人間の体内の抗酸化物質の量が低下する」といわれる月面での栽培を目標に、以下4つのフェーズにわけた研究を実施。

フェーズ1:通常の畑で美味しいアスパラガスを栽培する。
フェーズ2:耕作放棄地で美味しいアスパラガスを栽培する。
フェーズ3:過酷な環境もしくは限られた資源で美味しいアスパラガスを栽培する。
フェーズ4:月面で美味しいアスパラガスを栽培する。

現在は、大学の農学部に在籍する22〜24歳の学生インターンを中心に、神奈川川崎市の農家の指導の下、通常の畑でアスパラガスを栽培している段階(フェーズ1)で、今年の3月に初の収穫を迎える予定とのこと。


株式会社天地人
https://tenchijin.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
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    川島礼二郎
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  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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