ヤンマーとNTT Com、水稲栽培でのメタンガス削減とJ-クレジット創出における新たな取り組みを開始

ヤンマーマルシェ株式会社とNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は、生産者の新たな収益源となるJ-クレジット創出に関する取り組みを開始。NTT Comが提供するIoTセンサーやアプリを使用してJ-クレジット申請における生産者の管理負担を軽減するとともに、営農支援と収穫したお米のブランディング支援をヤンマーマルシェが行うことで、生産者のビジネス拡大に貢献するとしている。

J-クレジット申請の負担軽減と米の販売支援を実施


2023年3月1日にJ-クレジット運営委員会より策定された「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論。この方法論は、稲作の栽培期間中に水田の水を抜いて田面を乾かす「中干し」の実施期間を従来よりも7日以上延長することで、土壌からのメタンガスの排出量を抑制するというものだ。

これを受け、ヤンマーマルシェが契約する一部の生産者が栽培する多収・良食味米「にじのきらめき」を対象に、中干し期間の延長を行い、J-クレジットの認証取得に取り組む。

仕組み図
今回、中干し期間延長のエビデンス取得のため、水位などのデータをNTT ComのIoTセンサーで取得して管理する。

水田にNTT Comの農業用IoTセンサー「MIHARAS®」を設置し、地温・水位・水温・湿度・気温などのデータを取得。取得したデータはNTT Comが提供するアプリに自動的に連携され、アプリからJ-クレジットの申請までが一気通貫で完結する。複雑なJ-クレジット申請業務を簡便化するだけでなく、IoTセンサーで情報を取得することで近年課題となっているグリーンウォッシュ対策にも貢献するという。

さらに、中干し期間を延長すると土壌条件などによっては米の収穫量が落ちるほ場もあるが、ヤンマーマルシェが収穫量の確保および品質の向上にむけた営農支援を実施。収穫したお米は、環境に配慮した食料を求める顧客ニーズの高まりを受け、ブランド化に取り組むことで販売・流通を支援する。

創出したJ-クレジットは、NTT Comが市場への流通を行い、農業由来のカーボンクレジットの活性化を目指していく。

なお、本取り組みはJ-クレジット制度のプロジェクト登録および認証取得に向け申請予定だという。


ヤンマーマルシェ株式会社
https://www.yanmarmarche.com/
NTTコミュニケーションズ株式会社
https://www.ntt.com/index.html

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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