農研機構、ため池管理を効率化する「ため池デジタルプラットフォーム」を開発

農研機構は、ため池の平常時の写真や日常点検結果、監視カメラの画像、水位データなど、ため池の管理状況に関する各種の情報を格納・閲覧できる「ため池デジタルプラットフォーム」を構築した。

対象ユーザーは国や地方自治体のため池管理担当者で、ため池の経年変化を把握したり、ため池が被災した際には被災状況を迅速に把握することができる。

ため池デジタルプラットフォームの画面
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/159374.html

ため池の状態変化を1つのシステム内で監視


「ため池デジタルプラットフォーム」は、ため池の写真や日常点検結果をデジタルデータとして集約化するとともに、監視カメラや水位計によってため池の状態の変化を監視できるシステム。遠隔でリアルタイムに確認できるのが特長で、ため池の効率的な維持管理が可能になるという。

使用するのは、ため池の日常点検および災害時の緊急点検ができる「ため池管理アプリ」で、農林水産省が運用する「ため池防災支援システム」とも連携。全国約15万箇所のため池について、ため池番号・名称・所在地・緯度経度・堤高・総貯水量の6つが登録されており、ユーザーは担当地域のため池の写真を、撮影対象物、撮影日時、メモといった情報とともに登録可能となっている。

主な活用例としては、「ため池管理アプリ」を用いた日常点検の閲覧による管理状況の把握、監視カメラや水位計を「ため池デジタルプラットフォーム」に接続することによる平常時のため池の維持管理の確認、ため池が被災した場合に被災後の写真を比較することによる被災箇所の迅速な確認などだ。

監視カメラ閲覧画面
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/159374.html

水位データ閲覧画面
12時間から1年単位まで表示できる。
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/159374.html

デジタルプラットフォーム概要
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/159374.html

今後は、ICTなどを活用した情報化施工を支援するアプリケーションや、ドローンなどの無人航空機で撮影した動画、調査報告書等を格納する機能を追加するとともに、「ため池デジタルプラットフォーム」に蓄積された画像や水位データを基に豪雨・地震時のため池の危険度を予測するモデルや画像解析によるため池の異常を早期に発見する技術を開発する予定だ。


「ため池防災支援システム」
https://www.naro.go.jp/project/society5-sdgs/reaserch_result/seg4/145027.html
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  4. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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