Green Carbon、タイで水田由来のメタンガスを削減するプロジェクト開始

Green Carbon株式会社は、精米機や農業機械の製造を手がけるタイの企業であるCLP Engineering CO., LTD.と共同で、水田由来のメタンガスを削減するプロジェクトを開始した。タイ全土の農地約900万ヘクタールへのプロジェクト拡大を目指す。


間断灌漑(AWD)の社会実装を目標に


Green Carbonは、カーボンクレジットの創出(J-クレジット/ボランタリークレジット)、登録、販売までを一気通貫でサポートする事業を展開する企業。東南アジア諸国やコスタリカなどの海外でも事業を展開し、水田のメタンガス削減プロジェクトや農地貯留プロジェクトの実証を進めている。

2023年10月には、タイ地理情報・宇宙技術開発機構(GISTDA)が主催する「Thailand Space Week 2023」に登壇。それ以来、CLP Engineeringとタイでのプロジェクト組成についての協議を進めている。

Green CarbonがCLP Engineeringに訪問した様子

今回のプロジェクトは、Green CarbonとCLP Engineeringが2023年12月7日に締結したパートナーシップ連携に基づき実施するもので、間断灌漑(AWD)と呼ばれる手法により、水田圃場から排出されるメタンガスの削減を行う。

具体的には、CLP Engineeringの契約農家の水田圃場を使用して、水田に水を満たした状態と乾燥した状態とを数日おきに繰り返し、土壌中のメタンガスを生成する細菌の活動を抑え、メタンガスの排出を抑制していく。

間断灌漑(AWD)実施の水位変動イメージ

タイの水田面積は、日本の約5倍に当たる約900万ヘクタールに上るため、タイ全土の水田にAWDを導入した場合(多期作が一般的なことを考慮)、約3600万トン(※1)の温室効果ガス削減が見込まれ、これをカーボンクレジット価格に換算すると約360億円(※2)の経済価値を生み出すといわれている。

実証予定農地の写真

プロジェクトの開始は2024年2月からで、CLP Engineeringは実証圃場の確保やAWDの運営・管理、水位やメタンガス計測機器の開発を担当。約20ヘクタールの規模で実証をスタートし、将来的にはタイ全土の農地約900万ヘクタールへの普及を目指すとのこと。

両社は今回のプロジェクトを通じ、最終的にはCLP Engineeringが開発する温室育苗システムや精米機を導入して、タイの稲作生産システムの改善・効率化を進め、米の生産量の増加および品質向上を実現する狙いだ。

※1 水田1ヘクタール当たりCO2換算で4トンの削減として算出
※2 1トン当たり1000円として算出

Green Carbon株式会社
http://green-carbon.co.jp/
CLP Engineering CO., Ltd.
https://clpbrand.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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