ICTを活用した「農業後継者育成システム」の運用がJA蒲郡市でスタート

株式会社AGRI SMILEは、産地のプロ農家や技術指導員が持つ栽培技術を見える化した「農業後継者育成システム」の運用を、2019年12月3日に愛知県蒲郡市のJA蒲郡市で開始した。

システムの構築/運用にあたり、同社はザシードキャピタル株式会社やマネックスベンチャーズ株式会社ほか、複数の個人投資家らを引受先とした合計4000万円の資金調達を実施。「産地ごとに異なる栽培技術を体系的に蓄積し、継承を容易にすることで技術指導の負担軽減や技術レベルの底上げを図る」としている。



ICTでつなぐ 「栽培技術の継承」


農業後継者育成システムは、動画で撮影された産地のプロ農家や技術指導員の栽培技術を、ICT技術を用いて蓄積・運用するシステムだ。
撮影された動画は、個別具体的な事象に依存しない科学的知見に基づき編集され、指導員と交わしたQ&Aの内容もデータとして蓄積、マニュアル作成のサポートまでを行う。

運用が開始されたJA蒲郡市は、日本有数の温室みかん産地である愛知県蒲郡市を管轄。システムを活用し、「産地で技術をつなぐ」環境を整備していく考えだ。



高品質な農作物の「持続可能な生産」を


日本農業は古くから家族経営を主とし、暗黙知や経験則のみを頼りに、親から子へと栽培技術や知識の継承が行われてきたが、近年は高齢化や後継者不足など、高度な栽培技術の喪失が問題化している。JAでも若手農家や新規就農者へ向けた営農指導事業を行ってはいるが、収益性は低く、営農指導員1人あたりの組合員数も増加の傾向にあるという。

同社は今後、若手農家や新規就農者への技術指導はもちろんのこと、営農指導員の後継者育成や生産の背景まで理解した販売促進などにも農業後継者育成システムを活用し、高品質な農作物の持続可能な生産を実現していきたい考えだ。


株式会社AGRI SMILE
https://agri-smile.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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