日本と台湾で「有機食品の同等性」を相互承認 有機農産物の輸出入が可能に

日本と台湾は、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会が2019年10月30日に交わした「公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との有機食品の輸出入に関する協力の促進に関する覚書」に基づき、有機農産物の輸出入を2020年2月から開始した。


今回の輸出入の開始は、日本と台湾が「有機食品の同等性」を相互承認したもので、日本の事業者が有機農産物を輸出する際には有機JAS法の認証のみで有機表示できる。

有機JAS規格と有機食品の同等性


有機JAS規格とは、食品の国際規格を定める機関のガイドラインに準拠した、農畜産業に由来する環境への負荷を低減した持続可能な生産方式の基準を規定する国の規格だ。

有機JAS法は、JAS法に基づき有機JAS規格に適合した生産が行われていることを第三者機関が検査し、認証された事業者に有機JASマークの使用を認める制度で、日本では有機JASマークが付されたものでなければ「有機」と表示することができない。

有機JASマーク


有機食品の同等性とは、国家・地域間で定める有機表示の認証体制の同等性を認めたものである。

現在、多くの国や地域では「有機」の名称表示を規制しており、相手国の有機認証を受けなければ「有機」と表示した農産物の輸出ができない仕組みになっている。
有機食品の同等性が承認された国や地域の間では、相手国の認証が必要とされておらず、日本では今回輸出入を開始した台湾のほか、EUやスイス、米国、カナダの5地域を有機JAS法と同等性を持つ国や地域として承認している。


台湾との輸出入の開始にともない、農林水産省では有機JAS制度に基づいた輸出の対象範囲と生産基準を定めている。

対象範囲は、日本国内で生産・加工された有機農産物および有機農産物加工食品で、転換期間中の有機農産物や転換期間中の有機農産物を原料とした有機農産物加工食品は対象外とのこと。生産基準は、農林水産省が2005年に告示した「有機農産物の日本農林規格」、「有機加工食品の日本農林規格」に準拠すると示している。


公益財団法人日本台湾交流協会
https://www.koryu.or.jp/
台湾日本関係協会
https://www.mofa.gov.tw/aear/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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