米国向け「日本産うんしゅうみかん」の臭化メチルくん蒸義務が解除、産地が取り組みやすい条件での輸出が可能に

農林水産省は、米国アリゾナ州、カリフォルニア州、テキサス州、ハワイ州、フロリダ州、ルイジアナ州へ輸出する際に行われていた「日本産うんしゅうみかん生果実」の臭化メチルくん蒸の義務を2020年2月1日に解除した。日米間で行われた植物検疫協議によるもので、今後は臭化メチルくん蒸による検疫は不要となる。


臭化メチルくん煙はあらゆる農産物の殺虫・殺菌に効果を発揮する検疫用の農薬。米国は日本に対し、病害虫の侵入を防ぐ観点から柑橘(かんきつ)を商業的に生産している6州への輸出には、臭化メチルくん蒸による検疫を義務付けてきた。

一方、日本では産地からの規制緩和の要望もあり、農林水産省では臭化メチルくん蒸を施さない植物検疫条件での輸出が可能になるよう、米国の植物検疫当局と技術的協議を積み重ねてきたという。今回の解除により、臭化メチルくん蒸は米国の植物検疫条件から除外され、今後は臭化メチルくん蒸を実施せずに「日本産うんしゅうみかん生果実」を輸出することが可能になった。

新しい検疫条件


日米両国は、今後新たな検疫条件のもと「日本産うんしゅうみかん生果実」の輸出を行うと発表。

輸出の対象地域は本州、四国、福岡、佐賀、長崎、熊本県で生産されたものとし、大分県、宮崎県、鹿児島県で生産されたものついては輸出を見送る考えだ。

検疫対象の病害虫は、カンキツかいよう病、コウノアケハダニ、ミヤケハダニ、タイワンコナカイガラムシ、フジコナカイガラムシ、ミカンヒメコナカイガラムシ、ヤノネカイガラムシ、ミカンクロアブラムシ、ミカンキジラミ、ミカンバエの10種。

輸出時には、日本の植物防疫所に対して生産園地を登録するための申請を行い、登録された選果・梱包施設で選果や次亜塩素酸ナトリウムによる果実の表面殺菌および梱包を実施。日本の植物防疫官が検査し該当の病害虫がいないことを確認する。

今後は九州産「日本産うんしゅうみかん生果実」を対象とした、ミカンバエの発生を確認するトラップ調査と果実調査が予定されている。


農林水産省
https://www.maff.go.jp/
植物防疫所
https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/outline/index.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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