障がい者就労支援といちご農家が課題解決に向けてタッグ 農業法人「ONE GO」設立

障がい者就労支援事業を展開する株式会社SANCYO(さんちょう)と、福岡県久留米市でイチゴの人気品種である「あまおう」の生産に取り組むあまおう生産事業築島農園らは、「農業法人ONE GO(ワンゴー)」を共同で設立した。

ONE GOは、SANCYOの「農業クリエイティブ人材の提供」と、築島農園の「品質の高いあまおうの生産」といった両者の強みを生かした農業法人。両社は、「あまおう」の生産・加工・EC販売事業を軸に、飲食や農業体験事業を展開していきたい考えだ。


SANCYOは、就労継続支援A型事業を3事業所と、相談支援事業を1事業所で運営する障がい者支援を専門とした企業である。「生きづらさや働きづらさのない世の中を創る」をビジョンに、約80名の雇用支援ほか、月約200名もの雇用相談に応じている。

障がい者の雇用と農業の持続化を両立させた農業法人


ONE GOはイチゴの人気品種である「あまおう」をさまざまな商品やサービスに昇華して、独自のブランドを展開していく方針だ。ONE GOは、「日本のみならずアジア市場でのさらなる付加価値を見出し、障がい者雇用と農業の持続化を両立させたい」としている。


今後はあまおうを使用した「無添加あまおうバター」や「自然派牧場の牛乳を使用したあまおうアイス」などの販売ほか、農業体験をベースとした観光農園事業の開始を予定している。

事業承継問題や人手不足、高齢化などの農業課題と、賃金の向上など障がい者雇用に関する福祉課題を解決することで、新たな価値を生み出したい考えだ。

創業者のコメント


CEO:嘉村裕太氏
「築島さんと三年前くらいからお取引させていただいていて。 当時から後継者がいないという悩みを聞いていました。 時折「うちの農園を引き継がないか?」って、 声をかけてもらってました。 築島さんは本気であまおう作りをやっているので、 その当時は力不足を感じずっとお断りしていたんです。でも、 TANOSHIKAの支援員や利用者ともいずれは自分たちの農園をやろうねと約束していて、 今回のコロナ渦で仕事が減っていく中で、 「もしかしたら今がタイミングなのかな」と感じ、 今回の会社設立に至りました。今後は築島さんが積み上げてきた30年をさらに進化させ、 消費者に愛され続けるあまおうや関連商品、 サービスを作って届けていきたいと考えています。裏テーマとしては、 障がい者雇用をはじめ、 多様な人が働ける農業をしていくこと、 築島さんが作った遺伝子が脈々と受け継がれるような、さまざまな意味で持続可能農業にしていきたいなと思っています。ONE GOに関わるプレイヤーみんなで新しい価値を作っていきます。」

CTO:築島一典氏
「僕は昔は大手の機械メーカーにいたんですが、 だんだん本当に自分の作りたいものが作れなくなってきた。 それで今のあまおうの生産をはじめたんですね。 30年たってだんだん身体も思うように動かなくなってきたと感じて後継者を探してました。やっぱり30年近く地道に土も耕して改良してきて、 貯めてきた栽培ノウハウもここで終わらせるのは勿体無いし、 時代の変化も自分で感じていたから、 若い人に技術と農園を引き継いで新しいことをやってみたいという思いがありました。そんな時にTANOSHIKAの嘉村さんと出会って3年ほど信頼を築く中で今回一緒に会社を立ち上げることになりました。僕は栽培しかできないから今後はONE GOの若い子にあまおうづくりのノウハウだけは伝えていきたい。イチゴが売れるかどうか、 選ぶのはお客さんだから僕は基本を忠実にやっていくしかない。とにかくONE GOでは若い人のサポートに回りたいと思います。」


ONE GO 公式WEBサイト
https://onego.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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