営農支援プラットフォーム「あい作(R)」に出荷予測システムが追加

株式会社NTTデータは、営農活動の高度化・効率化を支援する営農支援プラットフォーム「あい作(R)」に、生産者個別と生産地全体の出荷量を予測する新たな機能「出荷予測システム」を追加した。

このシステムは収集・蓄積された生産情報や生育情報、環境情報を基に、品目別および作型別の予測モデルを構築して、生産者個別と生産地全体の出荷量を予測するもの。同社は、「農作物を集荷して出荷する全国のJAおよび出荷団体等を対象に提供を進めたい」としている。

「あい作(R)」は、農業協同組合農事組合法人等を対象にした営農支援専門のプラットフォーム。生産者および営農担当者が行う業務の内、生産計画書の作成から栽培記録の確認、承認までをサポートする。

同社は「あい作(R)」を活用することで、「営農担当者がスマートフォンやタブレットに入力された生産者の栽培情報等を把握することで、栽培情報の見える化を実現できるほか、コミュニケーションの促進による営農活動の質の向上、効率化にもつながる」とコメントしている。

必要な情報を収集・蓄積し出荷予測データを割り出す


「あい作(R)」に追加された「出荷予測システム」は、これまで収穫見込みを把握する際に必要だった生産情報や生育情報、環境情報等を収集・蓄積して、品目別・作型別の出荷予測データを割り出すものだ。

生産者個別および生産地全体のデータを提示してくれるほか、営農担当者が予測補正を行える仕組みも備えるという。

出荷予測システムの全体イメージ出典:「あい作®」で農作物の出荷予測システムの提供を開始|株式会社NTTデータ
システムの特徴は以下の4つ。

1.栽培品目・生産地に合わせた出荷予測パラメーターをユーザー自身が設定できる


産地ごとの生育傾向に合わせた出荷予測モデルを、ユーザー自身がパラメーターに設定して運用できる。2020年4月より提供が開始されている「出荷予測モデル設計コンサルティングサービス」を利用すれば、短期間で実用的な出荷予測モデルの構築の支援を受けることも可能だ。

2.直近の出荷見込の一括補正により実運用に合わせた予測が可能


出荷予測モデルによる予測結果は、現場で起こるさまざまな状況を100%取り込めるとは限らないため、営農担当者が2~3週間前に予測情報を補正するための機能が備えられている。早獲りの指示など現場の判断が加わることで、より精度の高い予測に近づける。

3.広域のインプットデータの収集・蓄積


生産地の現行業務で取り扱うさまざまなデータの収集・蓄積に対応。生産者が記録した圃場データや集荷場等で取り扱うデータの蓄積ほか、紙の帳票からOCR読み取りしたデータのインポートも行える。全国の気象データが活用できる気象システム「HalexDream!」とも連携するそうだ。

4.生産地での予測精度を向上させるため独自のPDCAを回す事が可能


出荷予測モデルの検証・改善を目的としたレポーティング機能を提供。これにより、ユーザーは予測精度の向上を目指したPDCAサイクルを組むことができる。

日本の農業現場では、農家の所得向上を目的に、農作物の生産・販売を戦略的に進める営農指導が行われている。
営農担当者は栽培した農作物をロスなく提供できるよう、きめ細かな営農指導を行っているが、収穫見込みの早期把握および収量の最大化、販売価格の適正化等が直近の課題という。

同社は、「あい作(R)」に出荷予測の仕組みを追加することで「収穫見込みの早期把握ができる」として、JA香川県への先行提供を開始している。今後も生産地や生産者の営農活動を支援するソリューションを拡充していく考えだ。


株式会社NTTデータ
https://www.nttdata.com/jp/ja/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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