Oishii Farm、日本の栽培技術を活用した栽培自動化いちご工場の開発へ

ニューヨークを拠点に世界最大のいちごの植物工場を建設するOishii Farmは、農産物栽培の自動化とCO2排出ゼロを目指した次世代工場「Farm of the Future」の開発に向けた取り組みを加速する方針を固めた。

同社は日本人CEOの古賀大貴氏が経営するニューヨーク発の植物工場スタートアップで、現在の主力作物はいちご。この取り組みは、スパークス・グループ株式会社が運営する未来創生2号ファンド(トヨタ自動車・三井住友銀行出資)から日本円で約55億円の資金調達を実施。2021年4月末には総額約65億円の資金調達完了を予定しており、いちごの植物工場の建設を完了すると同時に、「Farm of the Future」の開発を進めていく。


次世代型植物工場を通じて世界農業にパラダイムシフトを


レタス以外の受粉が必要な作物は植物工場での栽培が難しいとされてきたが、Oishii Farmのいちごの植物工場は、日本の伝統技術である施設園芸のノウハウを活用した独自の栽培方法と受粉技術を用いて、高品質いちごの安定量産化に成功した。

工場内では、気温や湿度、二酸化炭素、風、日長、光の波長、培地・灌水等を完全制御する自社開発の自動気象管理システムを使用して、通常の農業試験場の数百年分にあたる実験を1年で実施することができる。


植物工場で生産したいちごを詰め合わせた「Omakase Berry」は、マンハッタンのミシュランレストランから注文されているという。現在は収量が限られているためD2C販売を主としているが、今後はマンハッタン中の高級スーパーを対象に販売を広げていく予定とのこと。


この取り組みを通じて、自然災害による農業用地の減少など、世界規模で起きている農業課題を解決したいとしている。農作物の栽培に必要な気候条件や技術を集約できる次世代型植物工場「Farm of the Future」の開発を加速することで、世界農業にパラダイムシフトを起こしたい考えだ。

Oishii Farm
https://www.oishii.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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