最小限の水で通年栽培できる「モイスカルチャー」を使用したイチゴ栽培とは?

農福連携の自社農園で生産した完熟クラフトいちごブランド「BERRY」を運営する遊士屋株式会社と超省資源型気化水分栽培技術「Moisculture(モイスカルチャー)」を提供する株式会社CULTIVERAは共同で、環境負荷の少ない高品質ないちごを通年で生産する「The Good Green Farms」を設立した。


「Moisculture(モイスカルチャー)」は、植物が張り巡らせる毛細根の働きを利用して、農作物の成長に必要な水分や栄養分を補給するCULTIVERA独自の栽培技術。

特殊な浸透膜で形成した空間の中に気化水分(湿度)を満たして、微細な毛細根の発生・活性化を促していく仕組みで、農作物の栽培に使用する水の量を慣行栽培の10分の1程度に抑えることができる。


気候変動に対応した超省資源型農園を運営


現在、世界ではCO2など温室効果ガスの排出を原因とした気候変動の影響を背景に、淡水資源の枯渇による農業用水の喪失や砂漠化・干ばつ・塩害による農業適地の減少、生育適温の超過による農業適期の短期化など、農業生産におけるリスクの拡大が懸念されているという。

両社が設立した「The Good Green Farms」は、遊士屋が保有する高品質いちご栽培のノウハウとCULTIVERAが提供する「Moisculture(モイスカルチャー)」を組み合わせて、気候変動に対応した高品質な苺を通年で生産・販売していく超省資源型農園の運営母体。

現在は、シェフやパティシエなどいちごを使用した料理を提供する食のプロフェッショナルのみを対象に、生産した苺の販売を開始している。


両社は、「The Good Green Farms」の設立を通じ、気候変動の影響で起こるさまざま事象に対応した環境負荷の少ない新たないちご栽培を確立したい考えだ。


遊士屋株式会社
https://berryjapan.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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