クボタ、スマホ向けサービス「MY農機」で農機の位置確認&作業効率を見える化

2019年4月17日、大手農業機器メーカーの株式会社クボタは、農業機械の稼動状況がスマートフォンで確認できる「MY農機」のサービスを開始した。農機の位置情報や各種アラート、作業の進捗状況をリモートで表示・管理する仕組みだ。




開発の背景とサービスの必要性

近年、一定規模の農地を持つ「担い手農家」では、耕作面積が拡大し、複数の農業機械を同時に稼動させることも多い。そのためオペレーターが操作する各機械の状態や作業の進捗状況を、管理者がリアルタイムで把握・管理する必要性が高まっている。

また排ガス規制に伴って、農業機械には排気微粒子除去フィルター(DPF)や尿素SCR(窒素酸化物浄化システム)が搭載されており、アラート(警告)時には補充や交換等の速やかな処置が求められる。
 
このことにより農機をリアルタイムで見守ることの重要性が増したため、クボタはスマートフォン上で農機の位置情報や稼動情報などを簡単に確認できる「MY農機」のサービスを開始した。

MY農機とは直接通信の機能を活用し、機械の異常や部品交換時期などの各種アラート、燃料の残量など、各種情報をわかりやすく可視化するシステムだ。主に担い手農家の「順調作業」をサポートすることを目的としている。

当サービスを利用できるのは、自脱形コンバイン・ディオニスシリーズおよび普通形コンバインWRH1200などの「直接通信ユニット搭載機」の購入者、または同社のサポートシステムである「KSAS営農コース」の入会者。サービスの利用料は無償だ。

可視化機能の3本柱を軸とする「MY農機」



1. 稼動中の機械情報の見える化

MY農機では、稼動中の機械の位置情報や当日の稼動時間がスマートフォンの地図上に表示され、作業のおおまかな進捗状況を把握できる。万が一、DPFの再生異常や機械の故障が表示されていれば、警報が鳴った詳細や対処法も確認できるため、速やかな応急処置が可能だ。同時に燃料や尿素水の残量が表示されるため、補給のタイミングの判断がしやすくなるという。

2. 作業実績の見える化

自脱形コンバインを例に出すと、刈取・脱穀・もみ排出・移動・停止などの作業時間の内訳や、燃料消費量が1日単位で2カ月分確認できる。機械ごとの作業実績や移動情報が履歴に残るため、管理者と作業者(オペレーター)の作業の振り返りや改善に役立てることも可能となる。

3. メンテナンス状況の見える化

3本目の可視化としては、定期交換部品の交換タイミングのアラートが表示されるため、メンテナンスのタイミングを見逃さない上に、画面をタップすることで交換手順を確認できる。また、アラートに対応したメンテナンス履歴は、自動的にMY農機にも保存される。アラートの発生履歴を辿ることで事前に交換予測が立てられ、機械のメンテナンス計画に活用することができる仕組みだ。


<参考サイト>
株式会社クボタ
KSAS(クボタスマートアグリシステム)

MY農機
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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