東京都立大学らの研究チーム、斑点米の発生メカニズムを解明
東京都立大学大学院都市環境科学研究科、中央大学、農研機構東北農業研究センター、国立環境研究所らの研究チームは、イネとカメムシの成長タイミングが一致すると、斑点米の発生リスクが高まることを明らかにした。
斑点米は、カメムシが吸汁した傷に細菌が入り込み、カビが繁殖することで発生するコメ特有の害虫被害。米粒の一部が茶褐色に変色してしまうのが特徴で、近年は気候変動の影響による地球温暖化等を原因に、その被害が年々拡大している。
このような状況を背景に、全国各地の生産地では、水田周辺や畦畔に生える雑草を刈り取りカメムシの侵入を防ぐなど、斑点米の発生を軽減するさまざまな対策を講じているが、被害が発生する条件のメカニズムを解明するまでには至っていなかったという。
研究では、秋田県の農業関連機関協力の下、斑点米の発生面積が特に増えている東北地方に多く生息するアカスジカスミカメとアカヒゲホソミドリカスミカメの2種類のカメムシ(体長4~5ミリ程度の在来種)を対象に、2003年から2013年までの11年間分のイネの観測データと斑点米被害データを一元化して分析。
その結果、カメムシの積極的に攻撃をしかけるイネの出穂期は基本的に変わっていないことがわかった。
次に、毎日の温度から対象生物ごとに設定される基準値を超えた温度の合計値で生物の成長段階を推定する有効積算温度という考え方の基、イネの観測データと同じ期間のアカスジとアカヒゲの生活史を日別の気象データを用いたシミュレーションで推定。
既往の研究で明らかになっている「アカスジは第二世代の成虫期に、アカヒゲは第三世代の幼虫期にイネを積極的に加害する」という事実を参考に、「各年のいつ、両種の攻撃期間があったか」を検証して、イネを攻撃する期間が早期化している傾向を確認した。
最後に、「イネの脆弱期間とカメムシの攻撃期間が一致した場合に斑点米の被害が発生する」という予想の基、イネの観測データと推定したカメムシの攻撃期間を組み合わせて、斑点米被害の発生との関係を調査。
その結果、アカヒゲが優占していた期間(2003年~2005年)では、イネの出穂期とアカヒゲの幼虫期間が重複していた地域で斑点米が多く発生し、アカスジが優占していた期間(2006年~2013年)では、イネの出穂期とアカスジの成虫期間が重複していた地域で斑点米が多く発生していたことが判明したという。
研究チームは、今回の研究成果を活用することで、斑点米の被害予測や回避に役立てていきたい考えだ。
東京都立大学大学院都市環境科学研究科、
https://www.tmu.ac.jp/academics/graduate/ues.html
中央大学
https://www.chuo-u.ac.jp/
農研機構東北農業研究センター
https://www.naro.go.jp/laboratory/tarc/index.html
国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/
11年間分のイネの観測データと斑点米被害データを分析
斑点米は、カメムシが吸汁した傷に細菌が入り込み、カビが繁殖することで発生するコメ特有の害虫被害。米粒の一部が茶褐色に変色してしまうのが特徴で、近年は気候変動の影響による地球温暖化等を原因に、その被害が年々拡大している。
このような状況を背景に、全国各地の生産地では、水田周辺や畦畔に生える雑草を刈り取りカメムシの侵入を防ぐなど、斑点米の発生を軽減するさまざまな対策を講じているが、被害が発生する条件のメカニズムを解明するまでには至っていなかったという。
研究では、秋田県の農業関連機関協力の下、斑点米の発生面積が特に増えている東北地方に多く生息するアカスジカスミカメとアカヒゲホソミドリカスミカメの2種類のカメムシ(体長4~5ミリ程度の在来種)を対象に、2003年から2013年までの11年間分のイネの観測データと斑点米被害データを一元化して分析。
その結果、カメムシの積極的に攻撃をしかけるイネの出穂期は基本的に変わっていないことがわかった。
次に、毎日の温度から対象生物ごとに設定される基準値を超えた温度の合計値で生物の成長段階を推定する有効積算温度という考え方の基、イネの観測データと同じ期間のアカスジとアカヒゲの生活史を日別の気象データを用いたシミュレーションで推定。
既往の研究で明らかになっている「アカスジは第二世代の成虫期に、アカヒゲは第三世代の幼虫期にイネを積極的に加害する」という事実を参考に、「各年のいつ、両種の攻撃期間があったか」を検証して、イネを攻撃する期間が早期化している傾向を確認した。
最後に、「イネの脆弱期間とカメムシの攻撃期間が一致した場合に斑点米の被害が発生する」という予想の基、イネの観測データと推定したカメムシの攻撃期間を組み合わせて、斑点米被害の発生との関係を調査。
その結果、アカヒゲが優占していた期間(2003年~2005年)では、イネの出穂期とアカヒゲの幼虫期間が重複していた地域で斑点米が多く発生し、アカスジが優占していた期間(2006年~2013年)では、イネの出穂期とアカスジの成虫期間が重複していた地域で斑点米が多く発生していたことが判明したという。
研究チームは、今回の研究成果を活用することで、斑点米の被害予測や回避に役立てていきたい考えだ。
東京都立大学大学院都市環境科学研究科、
https://www.tmu.ac.jp/academics/graduate/ues.html
中央大学
https://www.chuo-u.ac.jp/
農研機構東北農業研究センター
https://www.naro.go.jp/laboratory/tarc/index.html
国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/
SHARE