農業と福祉が手を取り合うための考え方が満載 書籍『ユニバーサル農業 〜京丸園の農業/福祉/経営〜』販売中

創森社は、書籍『ユニバーサル農業 〜京丸園の農業/福祉/経営〜』を発売した。価格は2200円。

「ユニバーサル農業」とは、福祉の発想を取り入れ、障がい者、高齢者などの力も借りながら経営を強くしていくという考え方。アメリカで生まれた「ユニバーサルデザイン」(すべての人のためのデザイン)のコンセプトをもとにした概念となっている。



障がい者が働きやすい環境にするための農家の努力


「ユニバーサル農業」の取り組みで注目されているのが、静岡県浜松市にある京丸園だ。水耕栽培でオリジナルの小物野菜の芽ネギ、チンゲンサイ、ミツバなどを生産しており、1996年から障がい者の受け入れを始め、パートを含む従業員102名のうち、22名が障がい者だという(2023年現在)。

受け入れのために、作業工程を分解、細分化し、各工程の流れ、手順を明確化、標準化することで、より多くの障がい者の受け入れが可能となった。地域の特別支援学校や民間企業の特例子会社の障がい者なども積極的に受け入れ、多様性のある組織構成で経営の拡充を図っている。

そんな京丸園のこれまでの取り組みを、種々のエピソードを織り交ぜながら報告し、「ユニバーサル農業」の必要性、可能性を提示する書籍となっている。


『ユニバーサル農業 〜京丸園の農業/福祉/経営〜』目次


未来を拓くユニバーサル農業 序に代えて
第1章 ユニバーサル農業の打ち出すもの
第2章 家族経営からユニバーサル農業へ
第3章 福祉の世界から教えられたこと
第4章 ともに働くためのノウハウ共有
第5章 ユニバーサルな野菜と農業機械
第6章 地域での連携と農業経営の捉え方
第7章 持続可能なユニバーサル農業へ
あとがき


『ユニバーサル農業 〜京丸園の農業/福祉/経営〜』書籍情報

定価:2200円(本体2000円+税)
著者:鈴木厚志
仕様:A5判・160頁
ISBN 978-4-88340-360-8 C0061
発行:創森社
発行日:2023年2月8日発行


著者紹介


鈴木厚志(すずき あつし)
京丸園株式会社代表取締役。1964年、静岡県浜松市生まれ。400年続く農家の13代目。静岡県立農林短期大学校(現、静岡県立農林環境専門職大学)卒業後、親元就農。2004年、小型野菜の水耕栽培などを行う京丸園を法人化。「姫ねぎ、姫みつば、ミニちんげん」などのオリジナル野菜を生産し、JAとぴあ浜松などを通して全国各地へ周年出荷している。
また、1996年から障がい者を雇用し、福祉関係の組織や特例子会社、機械メーカーなどとの農福連携を図りながら、働きやすい作業体系をつくり、「農業経営における幸せの追究」をテーマに持続可能なユニバーサル農業の確立を目指す。浜松市ユニバーサル農業研究会会員、特定非営利活動法人しずおかユニバーサル園芸ネットワーク理事、静岡県立農林環境専門職大学客員教授なども務める。
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート。1979年広島県福山市生まれ。東京大学農学部国際開発農学専修卒業。2004年東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修士課程修了。農林水産省の食料・農業・農村政策審議会委員、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)アドバイザリーボード委員長をはじめ、農林水産省、内閣府、経済産業省、NEDOなどの公的委員を歴任する。

創森社
http://www.soshinsha-pub.com/

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    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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