TKS、ウルトラファインバブルを活用した「土壌障害の予防又は改善剤」の特許を取得

株式会社TKSは、2023年8月7日(月)に「土壌障害の予防又は改善剤」の特許を取得したと発表した。

液体の中に平均径が100μm(=0.1mm)以下の気泡を含有する「土壌障害の予防又は改善剤」を使用することにより、土壌障害を予防し、植物の育成を改善する効果を発見した。


「小さな気泡」が農業の課題解決に


TKSは、ウルトラファインバブルを採用したシャワーヘッド「Bollina(ボリーナ)」を提供する企業。ウルトラファインバブルとは、ナノレベルの非常に小さな泡のことを指し、マイクロバブルのように水面上に逃げて消失せず、長期間安定するため、産業的に活用しやすいという。

ほとんどの農作物は同じ圃場で同じ作物を作り続けると、生育不良や収量が落ちる連作障害が起こるといわれており、日本の生産農家は輪作や土壌消毒、土の入れ替え作業など、さまざまな対策を講じている。

しかし、土壌消毒剤の使用は、土壌中に存在する有用な微生物も殺菌してしまうため、土壌中の生態系を大きく変化させてしまい、新たな土壌障害を招く恐れがあるという。

また、土壌消毒剤は、その調製および使用が容易ではなく、経済的負担が大きい上に「病害細菌の殺菌のみでは必ずしも十分に土壌障害を改善することができるとは限らない」という課題も抱えている。

今回の研究では、この課題解決につながる「土壌障害の予防又は改善剤」を発見。液体の中に平均径が100μm(=0.1mm)以下の気泡を含有する「土壌障害の予防又は改善剤」を使用することにより、土壌障害を予防し、植物の育成を改善する効果があることがわかった。

一定の状況下で発生するUFB水(ウルトラファインバブルが含まれた水)を植物に与えたところ、障害土壌の予防・改善に加え、青枯病菌の増殖を抑制する作用が確認できたという。

本研究で確認された植物の発芽率向上、育成改善データ(一例)※レタス

今後は、より負担の少ない農業が行えるよう、土壌環境の改善をはじめ生産性向上につながる技術開発に努めるともに、一般の家庭でも使用できる製品開発を見据え研究開発を進めていく考えだ。

特許の概要
特許番号:第7327922号
許取得日:2023年8月7日

本技術の詳細(英文)
2021年10月1日 日本農芸化学会の英文誌 Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry掲載
”Ultrafine bubble water mitigates plant growth in damaged soil “のタイトルで論文発表
https://academic.oup.com/bbb/article/85/12/2466/6378876
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  4. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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