富士見工業と静岡県畜産技術研究所が「牛ふん堆肥の粒状化」に成功

富士見工業株式会社は、静岡県畜産技術研究所との共同開発プロジェクトで、牛ふん堆肥を粒状化する技術を開発した。

この新技術は農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」の一環として、環境に配慮した持続可能な農業の実現を目指す堆肥利用にも適応可能となっている。


「みどりの食料システム戦略」は、農林水産省が策定した政策方針で、食料の生産・加工・流通・消費の全体を一つのシステムとしてとらえ、持続可能な食料生産を可能にすることを目指している。

この戦略は、食料・農林水産業の生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを核心としており、新たな技術の導入や効率的な生産手法の実践、環境に優しい農業の推進など食料生産の持続性を高める取り組みを支援・推進することも含まれる。

牛ふん堆肥を2〜8mmの粒状に制御


現在日本では、資源循環型および環境保全型の農畜産業を推進するため、家畜ふん堆肥の利用が進められているが、「従来の家畜ふん肥料は、専用の機械なしには撒きにくい」、「家畜ふん肥料は重く、広域の運搬が困難」などの課題を抱えているという。

そこで、農業資材事業を手がける富士見工業は静岡県畜産技術研究所と共同で、牛ふん堆肥を粒状にする処理技術を開発。牛ふん堆肥を2〜8mmの粒状に制御することが可能になり、重量も約25%低減できる。

また、湿式造粒法という方法を採用したことにより、高含水の牛ふん堆肥の処理も可能になり、より広範な農家への供給が可能になる。


すでに牛ふん粒状堆肥を使用した野菜の栽培試験は共同研究済みで、今後は2024年春の出荷を目標に、堆肥工場の選定と製造システムの設置を進める計画とのこと。


富士見工業株式会社
https://fujimi-group.co.jp/
静岡県畜産技術研究所
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyoshigoto/norinjimusho/1046796/1044314.html
みどりの食料システム戦略
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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