ユーグレナとタックジャパン、鶏ふんを活用した複合肥料の流通に向けた実証を開始

株式会社ユーグレナと株式会社タックジャパンは、農林水産省が実施する「ペレット堆肥の広域流通促進モデル実証」の第2回公募の実証課題に「中日本における混合堆肥複合肥料の生産・流通モデルの実証」が採択されたと発表した。


ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功した企業。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発や遺伝子解析サービスの提供を行っている。

タックジャパンは、各配合飼料の販売等を手がける企業。近年は独自の知見・技術を有する大学や企業とパートナーシップを結び、鶏ふんなどを活用したアップサイクルにも取り組んでいる。

中日本の事業者や生産者等とコンソーシアムを形成


現在、日本では肥料原料の大半を海外から輸入しているため、為替や肥料原料価格の変動などで農家のコストが大きく変わる。そのため、国内の未利用資源を有効活用してコストを抑え、海外依存度を下げることが、農業経営の安定と食料の安定供給にとって重要な課題とされている。

農林水産省が実施する「ペレット堆肥の広域流通促進モデル実証」は、「みどりの食料システム戦略」の目標達成に向けて、未利用資源のひとつである家畜排せつ物をペレット堆肥として活用し、広域流通させる取り組みの実証をモデル的に実施するもの。

ユーグレナが代表機関となり、中日本(中部地方および近畿地方)の事業者や生産者等とコンソーシアムを形成し、鶏ふん堆肥を原料にした混合堆肥複合肥料の開発・製造を行う。

この肥料を使用して、現場レベルでの技術課題の解消や複数作物向けの栽培試験を実施するほか、農業生産者への調査を通じて、混合堆肥複合肥料の機能・性質の周知が堆肥の流通促進にどのように影響するかを検証する。

概要は以下の通りだ。

実証課題名
「中日本における混合堆肥複合肥料の生産・流通モデルの実証」
実証開始時期
2023年9月以降
事業内容
・鶏ふん堆肥を原料に用いた混合堆肥複合肥料の開発・製造、現場レベルでの技術課題の解消に向けた実証。
・複数作物向けの栽培試験などを通じて、中日本における混合堆肥複合肥料の流通モデルを検証。
コンソーシアム構成
代表機関
・ユーグレナ
広域流通を担う団体
・タックジャパン
ペレット堆肥製造施設を設置・運用する事業者
・大協肥糧株式会社
畜産産地の畜産農家・団体
・株式会社クレスト
生産者(耕種農家等)
・株式会社七久里農園

両社は今回の実証事業を通じ、未利用資源等を活用した肥料や飼料などを手がけるサステナブルアグリテック領域として新たなビジネスを創出し、持続可能な農業の実現を目指すとしている。


「ペレット堆肥の広域流通促進モデル実証」の採択について
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/naro/159271.html
株式会社ユーグレナ
https://euglena.jp
株式会社タックジャパン
https://tacjapan.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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