カゴメとNEC、農業ICTプラットフォーム「CropScope」を北イタリアのトマト圃場に導入

カゴメ株式会社とNEC(日本電気株式会社)が共同で設立したDXAS Agricultural Technology LDA(ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー)は、NECが開発した農業ICTプラットフォーム「CropScope」の少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと、自動灌漑制御機能を組み合わせたサービスを北イタリアとポルトガルのトマト圃場に導入した。

再現性の確認を行いながら導入地域を拡大し、世界各地で問題となっている営農現場における水不足に対応することで、より環境に優しく収益性の高い営農を促進していく。

ポルトガルの大規模トマト圃場で高収量を実現


現在、エネルギー価格の高騰や干ばつなど気候変動の影響等を背景に、農業における水不足対策が喫緊の課題となっている。

このような中、世界では水の消費量を削減する栽培手法である少量多頻度灌漑が行われている。しかし、変動する土壌水分量を最適に保ちながら細やかな管理が求められることから、「広大で複数の圃場を管理する生産者が最適な土壌水分量を判断することは難しい」という課題を抱えているという。


「CropScope」は、AIを活用した営農アドバイスサービスとセンサーや衛星写真を活用した圃場可視化サービスを組み合わせた露地栽培向けの農業支援ソリューション。

熟練農業者のノウハウを習得したAIが、農作物の成長に必要な水や肥料の最適な量と投入時期を明示してくれるのが特長で、「MCPC award 2020」のサービス&ソリューション部門の優秀賞も受賞している。


今回の取り組みでは、「CropScope」のサービスメニューである少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を、北イタリアとポルトガルのトマト圃場に導入。

その結果、「CropScope」を初めて導入した北イタリアでは、「CropScope」を活用していない区画と比較して、約19%少ない灌漑量で収量を約23%増加させることに成功。気候や土質など、これまで「CropScope」を導入していた地域と異なる新たな栽培環境でも、良好な成果が得られることを確認した。

また、ポルトガルでは、約21ヘクタール(2圃場合計)の大規模な商用圃場を対象に、熟練指導者の技術を組み合わせることで、1ヘクタール当たり148トンという高い収量を得ることに成功している。

北イタリア試験圃場における取り組みの概要と結果

ポルトガルDXAS商用大規模圃場における取り組みの概要と結果
※「UG11227」と「UG16112」は、カゴメグループのUnited Genetics社の品種

今後は、取り組みで得た知見を「CropScope」の機械学習に取り込むとともに、カゴメ・NEC・DXAS Agricultural Technology LDAの3社で実証試験を行いながら、AI営農アドバイスの精度向上やソリューションの強化を目指す。本サービスを世界の加工用トマト市場に普及させていくことで、さらなる営農支援を加速していく構えだ。


カゴメ株式会社
https://www.kagome.co.jp/
NEC(日本電気株式会社)
https://www.nec.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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