DJI、新型農業用ドローン「Agras T50」を発売

DJI JAPAN株式会社は、新型農業用ドローン「Agras T50・T25」と、アップグレード版「SmartFarmアプリ」について世界展開を開始すると発表した。

日本国内で既に2023年11月7日に販売開始している「Agras T25」に加えて、2024年4月25日から「Agras T50」の予約受付を開始している。


畑から果樹園まで、さまざまな用途に使用できるドローン


DJIは2006年の創業以来、民間用ドローン業界の草分け的存在として、農業、公共安全、測量・マッピング、インフラ点検などの分野にビジネスを展開している。

新型ドローン「Agras T50」は、大規模農業の需要から生まれた、効率性と安定性を誇るフラッグシップモデル。次世代レベルの安定性を発揮する同軸デュアルローター設計と、54インチのプロペラを継承し、40kgの噴霧剤、50kgの散布剤積載時に、1時間あたり最大21ヘクタール(※1)の効率的な噴霧能力を発揮するという。

「Agras T50」のデュアルアトマイズ噴霧システムは、2つのスプリンクラーとサイズ調整可能な噴霧機により、毎分最大16リットルの流量を実現し、畑から果樹園までの各種用途に使用可能だ。また、散布構成に応じて簡単に変換できるため、50kgの乾燥顆粒を搬送し、最大108kg/分または1.5トン/時の散布が行えるとしている(※2)。

「Agras T50」の特徴は以下の通りだ。

画期的な接続性と安定性
アップグレードされた4アンテナO3伝送システムを搭載し、送信機とドローンの接続を最大2kmまで拡張可能(※3)。山などの複雑な環境で操作する場合、DJIリレーを配置して伝送範囲と安定性を拡張し、操作の安全性を向上させることができる。

障害物迂回と地形フォローを可能にするデュアルレーダーとデュアル両眼ビジョン
デュアルアクティブフェーズドアレイレーダーと両眼ビジョンセンサーが搭載されおり、これらが連動してT50の周辺情報を正確に把握し、付近の障害物検出と迂回、斜面での地形フォローを実現する。

4つのスプリンクラーキット
遠心式スプリンクラー1組を追加装備することで、流量率を1分あたり24リットルに増加できる。これは高圧での噴霧が必要な果樹園など、密生した樹冠を貫いて葉の表裏を処理する作業に適している。

9分間の急速充電
最大容量30Ah、1500充電サイクル(※4)の、DB1560インテリジェントフライトバッテリーを搭載。D12000iEP多機能インバーター発電機と空冷式ヒートシンクの組み合わせにより、9分間(※5)の急速充電を実現し、1組のバッテリーで連続操作が可能になる。

日本国内で既に2023年11月7日に販売開始している「Agras T25」は、T50の高度な機能すべてをコンパクトで持ち運びしやすいボディに搭載し、20kgの噴霧剤または25kgの散布剤の積載が行えるのが特徴だ。

多方向障害物回避・地形フォロー・超高速バッテリー充電・ワンタップのテイクオフ・自動操作など、T50の主要機能を備えており、小・中規模農場での単独使用に最適だという。

また、Agras操作をする上で必需品となる「DJI SmartFarmアプリ」には、ワンストップで手軽に防除を実現するドローン管理の機能が搭載されている。最新の更新では、データ制御と管理の効率性が向上し、DJI Academyを通じて学習リソースにアクセスできるという。

なお、飛行ログや写真、動画などのあらゆるデータは、DJIに同期されないように設定されている。DJI Agrasドローンは、送信機と機体にデータをローカル保存するように設計され、データをDJIのサーバーに共有または保存するためには、オペレーター側で許可する必要がある。

DJIと共有されるドローンデータは、アメリカ、日本、およびヨーロッパにあるサーバーなど、ユーザーがいる場所に従って保管場所が決まり、TLSによる暗号化によって保護されている。また、アカウント登録のために共有される個人データは、AES-256暗号化で保護されているという。

オペレーターは、自分のDJIアカウントから、またはJIサポートに連絡することで、共有したデータを簡単に削除することが可能だ。

DJI Agricultureのグローバル販売責任者 Yuan Zhang氏のコメント
世界的な農業技術のリーダーとして、当社は噴霧・散布作業用の最新型DJI Agrasドローンによる農業技術の精度向上を目指しています。DJIの農業用ドローンは、これまで100ヵ国以上の地域の9億8,000万エーカーを超える土地に対応してきました。実証済みの当社の作物保護ソリューションは、環境への影響を最小限に抑えながら、小規模農家や大規模生産者の収穫量増加、化学薬品の使用とコスト削減に貢献しています。

「Agras T50」については、2024年4月25日から予約受付を開始。購入を検討している場合は、最寄りのDJI Agriculture正規代理店から価格情報を入手できるとのこと。


※1. データはDJI Agras T50で測定されたものであり、動作環境やパラメータによって異なる場合がある。
(テスト飛行のパラメータ:投与量15 L/ha、噴霧幅11 m、飛行速度7 m/s、高さ3 m)
※2. データは粒径4 mmの尿素で測定した値。最大流量率は、肥料の粒サイズ、密度、表面の滑らかさによって異なる場合がある。
※3. 障害物や電磁干渉がない状態で、飛行高度2.5 mで測定した値。
※4. バッテリーは、1500回の最大充電サイクルか12か月のいずれかが先に達した時点まで保証対象。
※5. 30%から95%までの充電時間。充電時間に影響する要因としては、充電ステーションの高度、充電ケーブルが急速充電の要件を満たしているか、バッテリーセルの温度が15°C~70°Cの範囲内であるかの3つが挙げられる。


Agras T50
https://ag.dji.com/jp/t50
Agras T25
https://ag.dji.com/jp/t25
DJI Agriculture正規販売代理店
https://utcagri.aeroentry.jp/
DJI JAPAN 株式会社
https://www.dji.com/jp
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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