農水省・消費者庁、新型コロナ対応で米トレーサビリティ法の運用に配慮

農林水産省と消費者庁は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受け、米穀物等の産地表示にまつわる法律「米トレーサビリティ法・第8条」の規定を、状況に応じて柔軟に対応する旨を示した。2020年3月9日に関係機関へ通知済みだという。

出典:農林水産省

米トレーサビリティ法とは、米穀等の産地情報や取引記録等を作成・保存し、消費者や取引先に伝達することを義務付けた法律を指す。

これは米や米加工品に問題が発生した際の流通ルートの特定を目的としており、もみ、玄米、精米、砕米などの米穀類ほか、米粉調製品、米菓生地、米菓、清酒、みりん、各種弁当類などが該当する。記録の未作成や虚偽の作成等、不正が発覚した場合には50万円以下の罰金が科される。

輸入原材料の変更後も中国産表記の包装資材が使用可能に


現在、多くの食品関連事業者では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足により、中国産以外の原材料への変更を検討している。しかし、即時に容器包装までを変更することは難しく、生産が遅れるなど適正かつ円滑な流通に支障が生じる可能性が指摘されている。

今回の通知は、感染症の拡大が社会的・経済的活動に影響を及ぼしている現状において、一般消消費者への食品の安定供給に向けた生産体制を確保するものだ。当面は店舗内の告知やウェブサイトで適切な情報伝達がなされていれば、中国産以外の原材料を使用した商品でも、中国産表記の包装資材での販売が可能となる。

農林水産省では、「今回の運用は、あくまで適正かつ円滑な流通を確保するためのものであり、一般消費者を欺瞞(ぎまん)するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正に取締まる」としている。

米トレーサビリティ法の概要:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/kome_toresa/
農林水産省
https://www.maff.go.jp/index.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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