アスパラガスの施設栽培に衛星データを活用 「天地人コンパス」が実証スタート
JAXA認定の宇宙ベンチャー企業である株式会社天地人は、2020年8月に内閣府宇宙開発戦略推進事務局が公募した「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」に、衛星データからビニールハウス内の作物に対する日射量を推定する「施設園芸へ横展開を目的とした天地人コンパス機能拡張と栽培実証」が採択されたことを発表した。
「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」は、衛星データの利活用促進に向けた公募型のプロジェクトで、先進的な成功事例の創出と民間事業者の自律的なソリューション展開を目的としている。
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天地人は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立したJAXA認定のベンチャー企業。地球観測衛星のデータを活用して、気候風土の情報を解析する独自開発の土地評価エンジン「天地人コンパス」を使用したプロジェクト等を展開する。
同社が採択を受けた「施設園芸へ横展開を目的とした天地人コンパス機能拡張と栽培実証」は、施設園芸用の環境制御機器や養液栽培システムを提供する株式会社誠和と、明治大学農学部の研究チームと共同で実施するプロジェクトだ。
プロジェクトでは人工衛星から取得した気候風土などのデータと地上環境データを活用して、栽培に必要な日射量の分析を実施すると同時に、病害虫の発生や高温障害、冬季温度、最適雨量などのリスクをマップ化して、作物に応じた最適な条件の土地の解析を進めている。
明治大学生田キャンパスに建設したアスパラガス栽培用ビニールハウスでの実証実験では、ビニールハウス内のデータを分析することで、 衛星データからビニールハウス内の日射量を推定できるようになったという。
明治大学 生田キャンパスに設置されたアスパラガス栽培用のビニールハウス
アスパラガスは、一般消費者から高い人気を得る一方で、農業従事者の作業負荷が大きく栽培が難しい農作物といわれている。また、光合成によって蓄積された養分の量が収穫量に大きく影響するため十分な日射量の確保が重要とされている。
明治大学農学部の研究チームは、このような課題を背景に、アスパラガスの新しい栽培方法として「採りっきり栽培」という栽培方法の開発に着手。これにより、それまで約3年を要していたという収穫期を1年程度まで短縮することに成功した。
明治大学 生田キャンパスのビニールハウス内で栽培されているアスパラガス
今回の事業では、「衛星データを活用したアスパラガスの採りっきり栽培方法の確立」を目標に、衛星データの有効性等を実証して、日本全国で広く展開できる新たな栽培方法を開発する方針を示している。
アスパラガスの「採りっきり栽培」は、病害回避と省力化を同時に進められる特性から、初心者でも取り組みやすい栽培方法だが、露地栽培向けに開発された経緯から、栽培場所が限られる等の課題も指摘されている。
同社は今回の事業を通じて採りっきり栽培が確立されることで、ビニールハウスでの長期栽培しか選択肢がなかったアスパラガスの短期栽培による輪作を実現し、農業者の採算性の確保と生産性の向上に貢献したい考えを示している。今後は、日射量の寄与が高いトマト等の作物でも栽培実証を実施していく予定だ。
株式会社天地人
https://tenchijin.co.jp/
株式会社誠和
https://www.seiwa-ltd.jp/
明治大学農学部
https://www.meiji.ac.jp/agri/6t5h7p00001f5in5.html
「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」は、衛星データの利活用促進に向けた公募型のプロジェクトで、先進的な成功事例の創出と民間事業者の自律的なソリューション展開を目的としている。
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天地人は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立したJAXA認定のベンチャー企業。地球観測衛星のデータを活用して、気候風土の情報を解析する独自開発の土地評価エンジン「天地人コンパス」を使用したプロジェクト等を展開する。
同社が採択を受けた「施設園芸へ横展開を目的とした天地人コンパス機能拡張と栽培実証」は、施設園芸用の環境制御機器や養液栽培システムを提供する株式会社誠和と、明治大学農学部の研究チームと共同で実施するプロジェクトだ。
プロジェクトでは人工衛星から取得した気候風土などのデータと地上環境データを活用して、栽培に必要な日射量の分析を実施すると同時に、病害虫の発生や高温障害、冬季温度、最適雨量などのリスクをマップ化して、作物に応じた最適な条件の土地の解析を進めている。
明治大学生田キャンパスに建設したアスパラガス栽培用ビニールハウスでの実証実験では、ビニールハウス内のデータを分析することで、 衛星データからビニールハウス内の日射量を推定できるようになったという。
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衛星データを活用した「採りっきり栽培」の確立を目指す
アスパラガスは、一般消費者から高い人気を得る一方で、農業従事者の作業負荷が大きく栽培が難しい農作物といわれている。また、光合成によって蓄積された養分の量が収穫量に大きく影響するため十分な日射量の確保が重要とされている。
明治大学農学部の研究チームは、このような課題を背景に、アスパラガスの新しい栽培方法として「採りっきり栽培」という栽培方法の開発に着手。これにより、それまで約3年を要していたという収穫期を1年程度まで短縮することに成功した。
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今回の事業では、「衛星データを活用したアスパラガスの採りっきり栽培方法の確立」を目標に、衛星データの有効性等を実証して、日本全国で広く展開できる新たな栽培方法を開発する方針を示している。
日射量が収穫量に大きく影響するトマト等でも栽培実証を実施予定
アスパラガスの「採りっきり栽培」は、病害回避と省力化を同時に進められる特性から、初心者でも取り組みやすい栽培方法だが、露地栽培向けに開発された経緯から、栽培場所が限られる等の課題も指摘されている。
同社は今回の事業を通じて採りっきり栽培が確立されることで、ビニールハウスでの長期栽培しか選択肢がなかったアスパラガスの短期栽培による輪作を実現し、農業者の採算性の確保と生産性の向上に貢献したい考えを示している。今後は、日射量の寄与が高いトマト等の作物でも栽培実証を実施していく予定だ。
株式会社天地人
https://tenchijin.co.jp/
株式会社誠和
https://www.seiwa-ltd.jp/
明治大学農学部
https://www.meiji.ac.jp/agri/6t5h7p00001f5in5.html
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