常備したい野菜ナンバーワン! 「にんじん」の保存方法

和食はもちろん、どんな料理にも使えて、食卓に彩りを添えてくれる万能食材「にんじん」。その便利さから、ストックしているという方も多いのではないでしょうか。

通年手に入って使いやすい食材ですが、意外と正しい保存方法は知られていないようです。いざ使おうと思って手に取ったら、しわしわの姿になっていた……なんて経験をした方も多いのでは?

そこで今回は、栄養満点で便利な「にんじん」の鮮度を逃さず、最後までおいしくいただける保存方法を紹介します!



にんじんの基本の選び方


通年手に入る「にんじん」ですが、当然旬のシーズンがあります。実は「にんじん」の旬は2回あり、4~7月に収穫される「春夏にんじん」と、10~12月に収穫される「秋冬にんじん」に分けられます。

「春夏にんじん」は水分が多く、柔らかいのが特徴。サラダなどの生食でもおいしくいただけます。「秋冬にんじん」の特徴は“甘さ”です。春夏にんじんと比べて実が締まっていて、加熱することでにんじんの持つ甘味が味わえます。それでは、おいしい「にんじん」の選び方を紹介していきましょう。

チェックすべき点は「表面」です。滑らかでツヤがあり、鮮やかなオレンジ色をしているものを選びましょう。さらに「ひげ」が均等に生えているのか確認するといいでしょう。

また、「茎の切り口」もチェックすべきポイントの一つ。切り口が小さいものは芯が細いため、やわらかな食感が楽しめます。さらに、切り口が変色していないかも確認するといいでしょう。スーパーなどではなかなか見かけませんが、葉があるものは「葉の色」が濃く、生き生きしているものを選びましょう。


万能な食材「にんじん」には当然、栄養がたっぷり含まれています! にんじんに含まれている栄養素といえば、やはり「β-カロテン」は外せません。ちなみに、にんじんの鮮やかなオレンジはこの栄養素に由来しています。

「β-カロテン」は体内で必要に応じて、目の機能や皮膚の健康をキープするのに必要な「ビタミンA」に変換されたり、動脈硬化などの生活習慣病の予防やアンチエイジングの効果を持つ抗酸化物質として活躍したりするので、積極的に取り入れていきたい栄養素の一つです。

また、体内の余分なナトリウムの排出を促してくれる「カリウム」も含まれており、塩分のとりすぎを防ぎ、むくみ予防にも効果があります。さらに、「カリウム」は高血圧の予防や改善にも一役かってくれますよ。高血圧の不安がある方は積極的に摂取していきたいですよね。

ほかにも腸内環境を整えてくれる「食物繊維」や骨粗しょう症の対策に欠かせない「カルシウム」もたっぷり! 低カロリーと、ダイエットを意識している方にもオススメの食材となっています。


にんじんの保存方法と保存期間


「にんじん」は1年中手に入り、ストックしておきたい食材ですが、新鮮さをキープして保存するのはなかなか難しいです。しかし、正しい方法で保存すれば1カ月間もおいしさをキープすることができます。

常温・冷蔵・冷凍の3つの保存方法を紹介していきます。どのタイミングで使いたいのか、どれくらい保存したいのかなどで使い分けてくださいね。

【にんじんの保存方法1】常温保存


1. にんじんをきれいに洗い、水分をキッチンペーパーなどでふき取る
にんじんは湿気に弱いので、しっかりと水分をふき取るようにしましょう。

2. 新聞紙やペーパータオルで包む

3. 冷暗所に保存する
にんじんの常温保存が可能なのは気温が低い秋~冬の時期となっており、期間の目安は1週間程度。すぐに使いたいという場合は問題ありませんが、ストックとして購入してきたという場合は冷蔵保存のほうが安心です。


【にんじんの保存方法2】冷蔵保存


1. にんじんをきれいに洗い、水気をふき取る
にんじんは水分がついていると腐りやすくなってしまいます。買ってきたらすぐに、袋から出すようにしてください。

2. 新聞紙やペーパータオルで包み、2~3本まとめてポリ袋に入れる
にんじんは乾燥に弱い野菜です。むき出しで置かずにしっかりと新聞紙などに包んで対策をしましょう。


3. 野菜室に立てて保存する
100均で売られているプラスチックケースなどに、にんじんの葉がある方が上になるように入れて野菜室で保存しましょう。このとき包んでいる新聞紙などは、にんじんから出る水分で湿ってきます。3~4日おきに交換してください。この方法で1カ月間ほどの保存が可能です。


【にんじんの保存方法3】冷凍保存


1. 皮をむいたにんじんを使いやすい大きさにカットして、水気をふき取る
いちょう切りや細切りなど、調理に使いやすいようにカットしましょう。

2. 冷凍用の保存袋に、薄く平らになるように入れて空気を抜く

3. 冷凍庫に入れて保存する
冷凍では3~4週間の保存が可能になります。サラダに使う際は、凍ったままドレッシングと合えるとより味がしみ込んでおいしさがアップします! 煮物や炒め物など、加熱調理に使いたいときも凍ったまま使ってください。


にんじんの種類


普段は特に気にすることなく手に取るにんじんですが、「西洋種」と「東洋種」があることをご存知でしょうか。

■西洋種
私たちが普段口にしているのは、西洋種のにんじんです。江戸時代に長崎に伝わり、栽培のしやすさから明治時代以降には主流になりました。

■東洋種
丸みを帯びてつるりとした表面の西洋種に比べ、細長くてごつごつしているのが「東洋種」。西洋種が広まるまでは、日本でも多く栽培されていました。お正月に多く食べられる「金時にんじん」も東洋種の一種です。

●五寸にんじん
普段私たちがよく目にしているにんじんの総称。その名の通り五寸ほどの長さ(約15cm)となっており、鮮やかなオレンジ色が特徴です。

●金時にんじん
東洋種の一種である「金時にんじん」は「京にんじん」とも呼ばれており、主に京都で生産されています。細長く赤みが強いが特徴で、β-カロテンやリコピンなどの栄養素がたっぷり。甘みが強く、煮崩れしにくいので煮物でいただくのがオススメです。

●ミニキャロット
果肉が柔らかく、小さなサイズがかわいい「ミニキャロット」は、種まきから3カ月ほどで収穫ができるため家庭菜園にも最適。サラダやグラッセなどにピッタリで、小さなお子さまにも食べやすい品種です。

●アロマレッド
「バラの香りのにんじん」とも呼ばれる「アロマレッド」は、鮮やかな赤色と強い香りが楽しめるにんじんです。煮物や炒め物、サラダに向いており、フルーツと合わせてジュースにしてもおいしくいただけます。主に北海道で生産されていて、種苗会社のトーホクと東洋大学植物機能研究センターの共同開発により誕生しました。


どんな料理にでもマッチする「にんじん」! 正しい保存方法で最後まで味わい尽くそう


和食にも洋食にも使える、まさに万能な食材である「にんじん」。通年で手に入れることができますし、何よりその使い勝手のよさからストックしておきたい野菜の一つですよね。しかし、保存方法を間違ってしまうとせっかくのおいしさが損なわれてしまう事態に……。

湿気や乾燥に弱いにんじんは、少しの手間をかけることでおいしさを失うことなく楽しめるようになります。栄養たっぷりの「にんじん」を、ぜひさまざまな料理でいただいてくださいね!


参考・参照元
【にんじんの保存】正しい冷蔵・冷凍テクニックで1ヵ月鮮度キープ! | ほほえみごはん-冷凍で食を豊かに-|ニチレイフーズ
https://www.nichireifoods.co.jp/media/10912/
にんじんの保存方法 | 素材の基本 | とっておきレシピ | キユーピー
https://www.kewpie.co.jp/recipes/knowledge/article/9/page03/
【にんじんの種類】五寸にんじん、赤色にんじん、ミニキャロット…代表種の違いを解説! | 季節の食材のHOW TO | アマノ食堂 | アマノフーズ
https://www.amanofoods.jp/season/20857/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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