夏休みごはんの悩みはおにぎりで解決!子どもの米食のススメ【年間400種のお米を楽しむライター柏木の「お米沼にようこそ」 第4回】

お米ライターの柏木智帆です。

もうすぐ子どもたちの夏休み。長期の休みに入ると「お昼ごはんは何にしよう」という悩みが増えますよね。

夏は冷たい麺を食べがちですが、暑いからといって冷たいものばかりでは胃腸に負担がかかり、夏バテにつながりやすいと言われています。

そこで今回のテーマは、子どもたちにお米をもりもり食べてもらうための提案です。暑い夏でも元気に過ごして、楽しい夏休みにしていきましょう!

子どもは「目」ではなく「胃袋」で食べる


お米を主食にすると、「何かおかずを作らなきゃ」と思ってしまいませんか。

でも、たとえばおむすびだけでも子どもは意外と喜んでくれます。

全国の保育園や幼稚園などの中には、お弁当におかずを入れない「ノーおかずデー」に取り組んでいる園があります。1週間のうちの数日は、子どもたちがおむすびだけのお弁当を持参するのです。


以前に神奈川県のある幼稚園を取材しました。そこでは、週3日はノーおかずデー。当初はおむすびだけのお弁当に保護者からは不安の声が出たそうです。「おかずがないとごはんが食べられない」「おかずがないとかわいそう」という考えの保護者が多く、中には、おむすびの中に肉団子を仕込む保護者もいたそうです(笑)。

でも、この取り組みが定着すると、ノーおかずデー以外の日も自主的におむすびだけのお弁当とか、おかずがほんの少しでほとんどごはんのお弁当を持たせたりする保護者が出てくるようになりました。

この取り組みを指導した管理栄養士・幕内秀夫さんは「大人は“目で食べる”からごはんが8〜9割の弁当はさみしいと感じ、子どもも自分たちと同じように“目で食べる”ものだと勘違いしています。でも、子どもは“胃袋で食べる”のです」と話していました。

つまり、子どもは大人ほどおかずの種類やバラエティーを求めているわけではないので、あれこれ入れようと頑張らなくていいということです。

この幼稚園の園長も「以前はお弁当のおかずを見てため息をつく子や食べきれない子もいましたが、ノーおかずデーの日はみんなパクパクと食べて、残す子はいません」と話し、子どもたちにも好評のようでした。

毎日毎食おむすびだけというわけではないのですから、自宅の昼食も「おむすびだけでいい」と思えば、夏休みの昼食が少し気楽になってきませんか?

朝ごはんは手抜きで健康に


「おむすびだけでいい」のは、朝食でも同様です。

娘が通うこども園では、朝食で何を食べたかを調査するアンケートが毎年1週間分だけ行われます。食べたものを記載するだけでなく、「主食」「主菜」「副菜」「汁物」と書かれたイラストに色を塗っていくのです。そして、最終日は「野菜を食べたか」などの問いに答える必要があります。

でも、朝から主食、主菜、副菜、汁物のすべてをそろえる必要があるのでしょうか。大人であっても毎日こうした「理想」とされる食事を摂っている人はどれだけいるのでしょう。

朝はどの家庭もバタバタしがちです。たとえ「理想」とされる食事をすべて用意したとしても、子どもがそれらをすべて食べてくれるかどうかはわかりませんし、食べるのに時間がかかってしまうかもしれません。そんな時は、「せっかく作ったのに」とか「早く食べてくれないかな」ともやもやとした気持ちになってしまいませんか。

ならば、朝はおむすびと汁物だけとか、忙しいときはおむすびと麦茶だけとか、もっと忙しいときはふりかけごはんと水だけとか、それでじゅうぶんではないでしょうか。

こども園からのおたよりには、ひじきの煮物や小松菜のふりかけなどを冷凍しておいてチャーハンなどを作る提案が書かれていましたが、朝から油を使ったチャーハンは大人でも重たく、そこまでして朝から野菜を食べさせる必要性はないように感じます。

「野菜を食べさせなければ」と、朝からチャーハンやマヨネーズたっぷりの温野菜などを食べさせるよりも、ふりかけごはんのほうが子どもの健康面から見れば断然おすすめです。それに、いい意味で手を抜いたごはんで親子ともに朝から笑顔で過ごせるほうが双方にとってハッピーですよね。

「子どもの栄養摂取のために、この1食で何を食べさせるか」と自分自身や子どもを追い込む考え方よりも、「子どもの栄養摂取はこの1食だけではない」という考え方のほうが、緩やかに無理なく食事作りができるように感じています。


子どもの成長にはお米が必要


以前に大手フィットネスクラブのスタッフを取材した際に、「タンパク質ばかりをたくさん摂取しても、筋肉を動かすエネルギーとして炭水化物をとらなければ、筋力はつかない」と教えてもらいました。

「ごはんは太る」と誤解している人は多いですが、炭水化物の9割以上は筋肉と脳で使われ、脂肪に回るものはほとんどありません。ただ、運動や炭水化物が不足していると、筋肉で糖を使えなくなるので太り始めてしまうのだそうです。

特に育ち盛りの子どもたちにとって、ほとんどが筋肉と脳で使われる炭水化物がどんなに重要かは言うまでもありません。

炭水化物の中でもお米は油や調味料などを使わずに水だけで調理できるシンプルな主食です。また、粒のまま食べるため、小麦製品に比べて咀嚼回数が多くなります。

咀嚼することは、あごの発達によって歯並びを良くしたり、唾液の分泌によって消化吸収を促したり虫歯を予防したりと、さまざまなメリットがあると言われています。

暑い夏はあまり噛まずに流し込める料理を食べがちですが、ごはんが主体の手軽な食事で、おいしく楽しく健やかな夏休みをお過ごしください。


柏木智帆
米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター
神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。

 

■子どもにあんしん・安全なお米を選ぼう!


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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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