お酒を飲むとお米を食べない人に伝えたい「おむすび×日本酒」の魅力【ライター柏木の「お米沼にようこそ」第6回】

お米ライターの柏木智帆です。

お酒を飲んだ後の締めのおむすびっておいしいですよね。

でも、お酒を飲みながらのおむすびもおいしいのです。

特に「お酒と料理でお腹がいっぱいになり締めのおむすびは食べられない……」という人には、ぜひ「おむすび×お燗」のペアリングを提案します。

お酒と料理だけで満腹にしないために


以前に中東とヨーロッパのレストランで心踊る光景に出会いました。

トルコでは、ピーマンにピラフを詰めた「ビベルドルマ」やムール貝の殻にピラフを詰めた「ミディエドルマ」などの料理を食べながらワインを楽しむ人たちがいたのです。スペインでは、パエリアやメロッソ(パエリアよりも汁気の多いお米料理)などを食べながらワインを飲んでいる人たちを見ました。

スペイン・バルセロナのパエリア
たしかに現地ではお米は主食ではなく「野菜」の立ち位置だと聞きます。私もこうした米料理とワインを一緒に楽しんでみると、どの米料理もしっかりとした味付けで、むしろノンアルコールで味わうなんて酒好きにはつらい……と感じました。

イスラム教徒が多いヨルダンはアンマンのレストランにはアルコールがなく、ぶどうの葉でピラフを包んだ「ヤプラクドルマ」を食べながら水を飲まざるを得ないことが残念でなりませんでした。

日本はお米が主食の国ですが、和食の米料理を食べながらお酒を飲むという人は極めて少ない印象です。鮨をつまみながらお酒を飲むのは主流ですが、おむすびや炊き込みごはんなどを食べながらお酒を飲む人は少数派で、白飯を食べながらお酒を飲む人はかなりの少数派ではないでしょうか。

中東やヨーロッパではお米は主食ではないからこそ、しっかりと味付けされた米料理をお酒と一緒に楽しむ文化があるのかもしれません。

日本では飲食店でコース料理を注文すると、締めにご飯や麺が出てくるパターンがほとんど。また、懐石料理の場合は、前半に「おしのぎ」と呼ばれる少量のご飯ものが提供されるのが一般的です。

一方で、アラカルトで注文する場合、締めのご飯を食べないという人は多いように感じています。「ご飯を食べると太る」と思っている人もいれば、「お腹がいっぱいでご飯が入らない」という人もいるようです。

前者はご飯だけが悪者ではないでしょう。後者に関しては、お酒と料理でお腹がいっぱいになってからご飯を食べるのではなく、中東やヨーロッパで見た光景のように、ご飯を食べながらお酒を飲むというふうに楽しんでみてはどうでしょう。炭水化物(糖分)はアルコールの分解を促す効果もあるそうで、お酒を飲むときにお米を食べると身体にも優しいと言えます。

米を肴に米を飲む


米を肴に酒を呑む」。もっと言えば「米を肴に米(日本酒)を呑む」と言う文化の醸成は、前々からの私の密かな野望です。

お米の消費量は減り続けています。この背景には、食の多様化、炊飯の手間、人口減少などさまざまな問題がありますが、私たちがお米の魅力や可能性を十分に堪能できていないことも要因だと感じています。

お米が原料である日本酒の国内出荷量も、長期的に見ると減少傾向です。この背景には、お米と同じように食の多様化や人口減少などのほかに、ビールや発泡酒などの台頭、若者のアルコール離れなど、さまざまな要因があると言われています。

お米(日本酒)を飲んだせいでお米を食べないというふうに、同じお米同士で競合するのではなく、両者が相乗効果でおいしくなるような楽しみ方ができたらいいと思いませんか。

つまり、お米を食べたら日本酒が飲みたくなり、日本酒を飲んだらお米が食べたくなる

あるいは、お米を食べると日本酒がよりおいしく感じられ、日本酒を飲むとお米がよりおいしく感じられるというように。

海外ではおむすびと日本酒が人気です。国内に約50店舗、海外に4店舗を展開するおむすびチェーン店「おむすび権米衛」では、アメリカは2013年の出店から、フランスは2017年の出店から、いずれも5〜6倍に売り上げが伸びています。日本酒も海外の日本食ブームを背景に、長期的に見ると輸出量が増加傾向です。

おむすびオリジンであり、日本酒オリジンである日本だからこそ、お米の可能性や魅力を掘り起こしていき、日本酒を含めた日本の米食文化をアップグレードして、新たなおいしさに出会うことができたら、結果的にはお米と日本酒の消費拡大にもつながるのではないでしょうか。

山わさびの味噌漬けを具にしたおむすびと燗酒

季節を問わずに楽しめる


「日本のドルマ」とも言えるいなりずしやいかめし、あるいは炊き込みごはんのおむすびなどは、日本酒とのペアリングのハードルは低めですが、じつは白飯のおむすびもサイズや具材によっては日本酒とのペアリングにうってつけです。

ずいぶん前に東京・原宿で開かれたイベントの中で「米を肴に米を飲む」をテーマにしたポップアップBARを開き、奈良漬やねぎ味噌を具にしたおむすびと日本酒のペアリングを提供しました。このときは夏だったこともあって冷酒にしましたが、ここ数年はおむすびとのペアリングには断然お燗のほうが合うと感じています。

そう感じるのは、お燗の味わいがペアリングのフックになっているだけでなく、おむすびを食べるときに温かい味噌汁やお茶を飲むとほっとする感覚になじんでいるせいもあるのかもしれません。

2年ほど前の冬には、福島県郡山市で開かれたイベントでオーダーメイドおむすび屋のおむすびとお燗のペアリングを楽しみました。

「しゃけ」を注文すると、具はしゃけのほかにドライトマトのオリーブ漬けと燻製オイルを入れ、トッピングにピスタチオをのせ、バジルと海苔を巻いたおむすびを作ってくれました。

具にシャケ・オイル漬けドライトマト・燻製オイル・ピスタチオ、外にバジル・ピスタチオ・海苔を使ったおむすび

そして、「奈良漬」を注文すると、奈良漬のほかにレモンの皮、大葉も入れたおむすびに海苔を巻いてくれました。数種類の具材やトッピングを使っていながらも味わいが品よくまとまっていて、このおむすびたちはレモンの皮を入れたお燗との相性が抜群でした。

江戸時代は季節に関係なく燗酒を飲む習慣が定着していたそうです。私たちが夏でも味噌汁を飲むことを思えば、不思議ではありませんよね。

「お燗」にハードルの高さを感じる人もいるかもしれませんが、日本酒(お米)に火を入れてつけるのですから、お米に火を入れて炊くごはんになじんでいる私たちにとって、実は意外と身近なお酒と言えるかもしれません。米を肴に米を飲みながら、ぜひお米の可能性や魅力を遊んでみてはいかがでしょうか。


柏木智帆
米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター
神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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