リンゴの知的財産権を守る「クラブ制」は日本でも根付くか 〜世界のリンゴ事情

JAZZ APPLEがやってきた!

5月半ば、近所のスーパーで、こんなリンゴに出会った。

「JAZZ APPLE ニュージーランド産」

小ぶりでちょっとキズがある。それでも気にせず売られていた。

5月に調布市内のスーパーで購入したJAZZ APPLEは、1玉78円

そういえば、このリンゴとロゴには見憶えがある。今年2月、ドイツの首都ベルリンで開催された世界最大のフルーツと野菜の見本市「フルーツロジスティカ」の会場だった。世界90カ国3200の企業や団体が出展。135カ国から7万8千人が来場し、食品バイヤーや購買担当者が商談を繰り広げていた。

会場のメッセ・ベルリンは、日本の幕張メッセのよう。広大な展示スペースに、カラフルなフルーツや野菜の展示スペースがどこまでも続いていて、その規模の大きさに圧倒された。

世界最大級のフルーツ展示会が開催されるメッセ・ベルリン

会場でどぎまぎしている私に、「ハーイ!」と声をかけ、試食をすすめてくれたのは、ブルーのポロシャツの胸に「JAZZ」のロゴマークと笑顔が眩しいお兄さんだった。JAZZというのは音楽ではなく、リンゴのブランド名らしい。

JAZZ APPLEのブースで、笑顔で試食をすすめるお兄さん

JAZZ APPLE、はニュージーランド生まれの「サイフレッシュ(Scifresh)」という品種。赤色に黄色が混じった果皮、ちょっと小ぶりなそのリンゴは、酸味が強く、シャリシャリと食感も心地よかった。

JAZZ APPLEは、ニュージーランドのENZA社とライセンス契約を結んだ生産者だけが栽培許可を得ていて、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア、スイス、オーストリア、ドイツで栽培中。北半球と南半球の産地を結び、一年中供給可能な体制を築いているという。お兄さんは、「だからいつでも、新鮮でおいしいリンゴが食べられますよ」と、自信満々。

そんなJAZZ APPLEが、東京のスーパーにやってきた。1玉98円。8〜10個入りは500円(いずれも税抜き)。1個200gくらいで、ベルリンで見た時と同じように、日本のリンゴよりもひと回り小さい。

同じスーパーのちょっと離れた棚に、青森県産のサンふじが並んでいた。こちらは1個275gで178円。4個498円。昔から馴染み深い青森県産ふじよりも、季節が逆のNZ産の方が鮮度が高くて価格も安い。うーん、どっちにしよう。
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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