リンゴの知的財産権を守る「クラブ制」は日本でも根付くか 〜世界のリンゴ事情


ヨーロッパで見たリンゴたち

思えば2月のヨーロッパ滞在中、いろいろなリンゴを目にした。

これはパリの市街地で定期的に開かれている、有機マルシェで売られていたリンゴ。玉が小さくて、キログラム単位の量り売り。ちょっとくらいキズがあっても気にしない様子。

パリの市内で定期的に開かれている有機マルシェ。リンゴは量り売り

パリのランジス市場も訪れた。東京ドーム50個分の面積を誇る卸売市場で、ヨーロッパ中の農産物がここへ集まり、配送されていく。豊洲が「東京都民の台所」であるように、ここは「ユーロのみんなの台所」なのだ。

ユーロ諸国から農産物が集まるランジス市場内のリンゴ専門業者

その一角に、リンゴ専門の卸業者「MOUNEYRAC」を見つけた。同社のHPによれば創業は1928年。90年以上、フランス国内の産地からリンゴや梨を集荷して、国内外に販売している。

ここのリンゴは大きさも揃っていて大きい。ただし、日本のようにヘタを上向きにするのではなく、横向きに並べるのがユーロ流。さらに梱包に使っているのは昔ながらの木箱かと思いきや、近づいてよく見るとなんと紙でできている。さすがフランスのリンゴ屋さん。センスが光っていた。

同社の取り扱い品種に「Fuji」の文字を見つけた。日本で生まれた「ふじ」は「クラシック」な品種の位置付けになっていて、フランスでも定番品種になっている。
https://www.mouneyracfreres.com/fr/index.php

続いてベルリンのビオマルシェへ。ここでもリンゴは量り売り。小ぶりな玉がメインで、多少のキズやシミのある果実も、ざっくりカゴに盛られて売られている。

ベルリン市内のビオマルシェ。リンゴの横に紙袋が置かれていた

基本的に必要な分だけ買い求めたら、持参したバッグに入れるか、置かれた紙袋に入れて持ち帰る。ドイツでは日常の一部となっている「オーガニック」や「Bio」を標榜するマルシェでは、余分な包材を使わない配慮も徹底していた。

続いてミュンヘンへ。市役所広場近くのマルシェには、リンゴ専門店では、JAZZ APPLEとPINK LADYがゴロゴロ箱に山積みになって並んでいた。クラブ制リンゴは、ユーロ諸国ではお馴染みの存在のようだ。

ミュンヘンのリンゴ専門店にて。Pink LadyとJAZZが並んでいた
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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